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2015年6月14日 - 2015年6月20日

2015年6月14日 (日)

保守派と労働規制緩和

 土日は名古屋大学で福祉社会学会が開催された。この発表の中で、京都大学の池田裕先生の研究はなかなか興味深いものであった。

 池田先生の発表によれば、「保守」と言っても、市場制度を信用する人たちと懐疑的な人たちに分かれており、市場制度に懐疑的な保守と革新の間で雇用対策について意見の隔たりは存在しない。市場制度を信頼しない保守は革新よりも雇用対策を支持する可能性が高く、福祉国家の熱心な支持者が革新とは限らないという。

 これはなかなか衝撃的な結論である。単純に「労働規制緩和」を推進した場合、相当数の保守派からも反発を食う可能性が高いという事である。実際、派遣法の改正でも自民党所属の地方議員や秘書クラスから、改正に批判的な意見を聞くこともないわけではない。

 そこで気が付くのは、安保法制が国会で同時進行中だということである。派遣法改正に反対している労働組合やNGOなどは、「安保法制反対」や「辺野古移設反対」を同時に掲げていることが多い。左派勢力なのだから騒然の動きだが、派遣法改正反対も含めて三点セットで主張されている。派遣法と安全保障法が抱き合わせにされてしまうと、市場原理主義に懐疑的な保守派が労働規制緩和反対で革新勢力と共闘することは難しくなる。

 安倍政権は自民党の支持基盤である保守層の中のかなりの部分が派遣法改正を含めた労働規制緩和に反対するであろうことを事前に察知していたのではないか。実際、保守層の多くは普通の労働者や中小自営業者であり、大企業の利益を優先した労働規制緩和が行われれば不利益を被ることは確実である。

 これらの保守派が動けないようにするために、安保法制を同時に持ち出して革新勢力に騒がせ、市場原理主義に批判的な保守派と革新勢力が手を組んで労働規制緩和に反対できないようにしているのではないか。仮に意図的でなかったとしても、安保法で左翼勢力が大騒ぎしていることは、相対的にせよ派遣法改正に有利に働いていることは確かだ。

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