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2015年6月7日 - 2015年6月13日

2015年6月12日 (金)

派遣法改正は何を志向しているのか

 与党と維新の間で、維新が同一労働同一賃金法で与党の賛成を得る代わりに、衆議院厚生労働委員会の派遣法改正案の採決を容認するとの取引がなされたとの報道がされた。

 労働規制緩和は安倍政権の「目玉政策」であり、財界や派遣業界から強い要求がされていること、「10.1問題」と称する「みなし直接雇用」の発動が特に恐れられていることから考えても、余程派遣関係について厚生労働省や派遣元・派遣先の失態が国会で暴露でもされない限りは、何が何でも成立させることになりそうである。

 しかし、私はどうしてもよく分からないところがある。 言うまでもなく、労働者派遣の本質は「中間搾取」である。中間搾取は戦前の反省から戦後の労働法整備の際に禁止され、派遣法によって例外的に許容されてきた。派遣会社は「マージン」「手数料」などと言い換えることが多いが、「搾取」であることに変わりはない。そして、派遣会社はこの搾取を続けることで成り立っているわけで、できる限り派遣を長く続けることが利益に直結することになる。

 今回の法改正について、多くの労働組合や派遣労働者は「正社員を派遣に置き換えるもの」「一生派遣」と批判しているが、安倍総理は今回の法改正を「正社員化」のためだと説明している。「正社員化」を志向する場合、派遣会社の利益となる中間搾取の機会が減ることになる。

 一般的に派遣会社は紹介予定派遣や有料職業紹介事業も手掛けているので「正社員化」が全面的に害悪と言うわけではないのだが、それでも労働者派遣の「うまみ」は長く中間搾取を続けられるかどうかにかかっている。さっさと直接雇用にされてしまっては、派遣先に代わって募集し、採用し、教育するという手間とリスクばかり追わされることになる。「正社員化」を進めると言う事であれば、派遣会社の利益は確実に減る。

 派遣会社や派遣事業者の団体からは法改正に賛成の声ばかりで、反対の声が出ていないのは不思議としか言いようがない。

2015年6月 7日 (日)

ブラック企業と自衛隊

 「ブラック企業」の中には自衛隊で新入社員研修を行っているところがある。敬礼にはじまり、ベッドメイキング、行軍訓練、非常呼集の訓練まで含まれているというのだから、なかなか本格的だ。

 だが、民間のサラリーマンに必要な訓練とは思われない。軍人の初期教育は何処の国もこのようなものだが、それはあくまで「非常事態に備える」という任務の性格上、正確性と迅速性を骨の髄まで叩き込んで考えなくても体が動くように「躾ける」必要があるからである。また、こうした訓練はあくまでも入隊初期のもので、一生の間入隊時のスケジュールのような過酷なサイクルで働くわけではない。初期教育が終わって一人前の軍人になれば、普通のサラリーマンと同じく「出勤退庁」することになる。

 しかし、「ブラック企業」の場合は新兵教育のようなことを職業生活の間延々と続けるつもりなのだから始末に悪い。特殊部隊ですら、不眠不休で任務にあたることは当然だが、「365日24時間死ぬまで働け」ということはあり得ない。

 自衛隊がブラック企業の新入社員教育をやるということは、国費でブラック企業を後押ししているようなものである。それだけではなく、「ブラック企業=軍隊式」というイメージを植え付けてしまうことになり、自衛隊の教育の本質がゆがめられ、自衛隊そのもののイメージも悪くなる。

 もし、自衛隊の教育が活用できる最も大きなところは、リーダーシップや指揮命令関係の知識であろう。企業によっては、トップに何かあった場合に意思決定を誰が引き継ぐのか、ルールを定めているところがあるが、これはまさに「軍隊式」だ。指揮官が倒れても戦闘を引き継げるようにルールが定められているからである。このようなところを学ぶならば、意義は大きい。

 自衛隊も、民間からの教育要請に対しては企業と教育内容を吟味して対応する必要があるのではないか。

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