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2015年9月

2015年9月24日 (木)

辺野古移設を凍結すべき

 沖縄の「反基地闘争」は日本政府に対して要求するという枠組みを超えてしまった。翁長知事が国連人権理事会で行ったスピーチは、沖縄の基地問題は日本の国内問題ではなく、日米両政府による少数民族弾圧、植民地支配を印象付ける話になった。新聞には「独立すれば基地がなくなって平和な島になる」などという沖縄独立派のコメントまで載っている。

 現実には、独立したとしても米軍基地の撤廃は難しい。国際法では、独立国が従前の所属国の負っていた義務を承継するかは議論のあるところで、大抵独立国の側は義務を承継しないと主張する。しかし、借金の踏み倒しならばともかく、基地や鉄道などの場合は独立国が実力で追い出すのが難しいだけに、大抵そのままになる。恐らく、沖縄の基地も同じことになるのではないか。沖縄が独立してもアメリカは基地を撤廃する義務はない。現在日本に要求しているのと同じ義務を沖縄に要求できる。

 だが、こうなると辺野古移設は最早不可能ではないか。強行すれば、民族弾圧や独立という話になりかねない。沖縄も、そうした枠組みの闘争に持ち込もうとしている。辺野古移設を凍結し、危険でも普天間の使用を継続した方がよい。

2015年9月21日 (月)

民共の選挙協力

 共産党が民主党に今後の選挙において「反集団的自衛権」での選挙協力を提案し、民主党も前向きに検討するという。単純計算すれば、自民党・公明党の候補者を上回る選挙区も多くなりそうである。

 しかし、現実には民主党が共産党と組むのは極めて難しいのではないか。社民党とすら連立政権が運営できなかったのだから、それより左の政党と政策的に一致するのは難しい。

 そもそも、民主党は集団的自衛権の行使の必要性を認めている議員も多い。自衛隊の海外派兵についても、共産党の様に絶対反対というわけではない。現実問題、民主党左傾化して政権与党になったとしても、外交的に集団的自衛権を即座に否定するわけにはいくまい。

 また、民主党が共産党と組めば「自民党に飽き足らない保守層」の支持は全く望めなくなるのではないか。昨今の「ブラック企業」「貧困」で従来共産党に投票してこなかった中間層をある程度共産党は取り込むことに成功はしているが、「自民党に飽き足らない保守層」の票を上回るほどの票田になるとは思えない。そもそも、経済的に社会民主主義的な制度を希望する層が安全保障上も左翼的な選択をするわけではない。

 また、共産党が「天皇制」「自衛隊」について認めているとは言っても、あくまで「廃止までの暫定的な方便」という見方が強い。ロシアにしろ中国にしろ、共産主義勢力が政権を奪う時は、最初は保守層にもある程度受け入れられる政策を提示して「連合政権」を作り、その上で政権内の反対派を粛清していくというプロセスを経ている。共産党がマルクス主義を完全に放棄するならばともかく、いくら武力革命路線から議会闘争路線に転換したとは言っても、危険視される要素は民主集中制を含めて現在も色濃く残っている。

 国際的にも、先進国で共産党が無視できない勢力を占めていることは異例であり、民主党が共産党と選挙協力などすれば国際的にも民主党は容共政党、民主党政権ができれば容共政権と見られることは目に見えている。

 民主党が共産党と選挙協力することは、結果的には中間層保守層の離反を招き、国際的信用をも失うことになりかねない。単一争点だけで選挙協力するというのでは、過去郵政選挙をはじめとする単一争点選挙による扇動を非難できないことになる。

2015年9月19日 (土)

長久手市消防団パソコン盗難事件

 長久手市消防団の詰所から住民等の情報が入ったパソコンが盗難される事件があった。中日新聞の報道によれば、隣接する公民館との間の鍵がかけ忘れられていたために侵入されたものという。

 一般的に、官公庁では個人情報を保存するパソコンはパスワードでロックされ、更に個人情報のデータ自体もパスワードを設定するという、最低でも二重のロックがされていることが普通である。データベース・ソフトにもパスワードを設定し、三重のロックがされていることもある。また、いずれのパスワードも「業務上アクセスすることが必要な者」に限って発行する。

 長久手市役所であれば、恐らくは相当のセキュリティがなされていたであろう。問題は、消防団で同等のセキュリティがなされていたのかということである。

 消防団の「予算難」は全国的に聞かれるところであり、本来業務に必要な無線機器なども整備されておらず、団員の私有携帯電話を業務に使用するのが普通であると言う。最近では、大手企業では個人の携帯電話に業務関係の情報を入れたり、業務に使用することを禁止することが普通だ。

 パソコンは長久手市のものであったようだが、長久手市はセキュリティについてもきちんと消防団を指導していたのだろうか。仮に指導がされていたとしても、情報セキュリティ体制がきちんと守られていたのか。消防団は「ボランティア」と言われることが多いが、一般的なボランティア組織と異なり、公的組織であり団員の身分は公務員である。つまり、情報漏洩事件でも起こした暁には、その責任を行政が問われることになる。

 防災に対する住民の意識が高まり、消防団の役割は重くなっている。長久手市では集積した住民の情報を消防団と共有しており、管理すべき情報は住民のプライバシーにかかわるものとなる。また、あまり知られていないが、有事の際には自治体が住民保護を行わねばならず、その際にも消防団は役割を果たすことを求められている。情報セキュリティ体制の見直しは必要であろう。

 また、長久手市は住民の情報を防災のため自治会とも共有するものとされている。そうである以上、こうした組織についても情報セキュリティについて自治体が積極的に指導すべきであろう。

2015年9月17日 (木)

日本では大して意味のない議事妨害

 戦争法の採決を巡り、参議院での攻防が最終局面に入っている。安保法を審議している特別委員会では採決を長引かせるため「議事妨害」(フィリバスター)も行われた。しかし、この議事妨害は日本では意味がない。

 アメリカ上院のフィリバスターがしばしば引き合いに出される。しかし、アメリカ上院は伝統的に「強行採決」は行わない。議論を尽くして採決を行うことを院の誇りにしているからである。フィリバスターは確かに審議を引き延ばす意図があるが、フィリバスターの最中に舞台裏では調整が行われる。つまり、調整の時間を確保するという意味でフィリバスターが行われる。

 しかし、アメリカ上院ではフィリバスターは基本的に議員の体力が続く限り行うことができるのに対して、日本では発言時間が制約されているため、そもそも「引き伸ばし」には限界がある。何より、アメリカ上院は二大政党制であっても議員は個々人の良識と利益に従って行動することが許されているのに対して、日本で与野党ともに党議拘束が厳しい。つまり、舞台裏で話し合っても妥協の余地がほとんどない。

 日本とアメリカでは議会の制度が全く異なっている。日本では議事妨害は色々と行われてきたが、それで採決が止められたり、与党が強硬に成立を求めている法案を廃案にできたという事例はほとんどない。「国会議員が国民の金を使って内輪もめをしている」と見られてしまうため、「議員不要論」「政治不信」に拍車をかけてしまう。残念ながら、日本では議事妨害は合意形成に大した意味は無いと言わざるを得ない。

 

2015年9月14日 (月)

辺野古移設承認取り消しは普天間の継続使用

 沖縄県知事が、辺野古での埋め立て作業の承認を取り消す。海を埋め立てて滑走路を建設できなければ、辺野古への基地移設は成り立たない。「pacta sunt servanda」(合意は守られるべし)という法の基本原則をあえて破る以上、普天間の恒久的な使用を許容せざるを得ない。

 そもそも、アメリカは「血を流して戦い取った土地」である沖縄の施政権を日本に返還したことだけでも奇特な行為なのだから、基地使用権は占領時代と同じだというのが本音のところだ。日本側がアメリカの許容する移設先を確保できない以上、アメリカとしては普天間返還の約束を守る必要などないという結論に達するのは当たり前だ。

 「基地は戦争を招き、迷惑施設だから出ていけ」という理屈がアメリカでは基本的に通用しない以上、辺野古への移設を潰すことはできても、普天間返還という一番重要な目標は放棄せざるを得ないだろう。それを沖縄県民が選択した以上、尊重するしかないのではないか。

2015年9月 1日 (火)

防衛省の自衛隊研修制度案に思う

 防衛省が、企業の新入社員をそのまま任期2年の任期付き自衛官として受入れるという案を作成していることが判明した。名目は「企業の研修」ということで、「体育会系を確保できる」というメリットが企業側にもあるという。また、予備自衛官の確保に関連して、防衛省に協力する企業を入札で優遇できるような制度を導入するという話もあるので、人を出すことは企業側にとっても悪い話にはならないようだ。

 実に恐ろしいことを考えるものである。この案は労働者にとって何のメリットもない。これでは、任期制自衛官は「下士官の母集団」という位置付けではなく、完全に「使い捨ての対象」である。これは実質的な徴兵制によって自衛隊の能力を落とすだけでなく、現場から叩き上げる優秀な曹候補を確保できなくなってしまうと言う事である。

 さすがに、こうした制度を「企業の裁量の範囲内」と考えることは難しい。企業そのものが自衛隊に対する「口入稼業」を行うのと同じである。入札優遇を狙って、非正規労働者を自衛隊に「提供」し、任期を終えて戻ってきた後は契約を終了させるというような手を使う企業も出てくるかもしれない。また、任期中に企業が倒産するような事でもあれば、労苦は水の泡となる。

 集団的自衛権行使に賛成の立場であっても、こうした悪影響しかもたらさないような制度を肯定する識者は少ないと思う。

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