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2014年1月26日 - 2014年2月1日

2014年2月 1日 (土)

意味不明な大阪市長再選挙

 大阪市の橋下市長が自らの進める大阪都構想が上手く進まないことに立腹し、またしても議会や他党を「悪者」に位置づけるべく奇策に打って出た。橋下市長は大阪市長を辞職し、再選挙に出馬するという。

 橋下市長のやり方は、要するに自らが多数票をもって市長に再選されることで議会や他党に圧力をかけ、都構想を進めたいというものであることは明白だが、二元代表制ということもあるから、このような手法の正統性には疑問を抱かざるを得ない。議員や他党に対する「説明」「説得」が欠けているのではないか。

 没落気味であるとは言え、橋下市長の知名度と人気はまだまだ圧倒的だ。恐らく、誰が立候補しても破るのは難しいのではないか。しかし、それで都構想が進むとは思われないし、そもそも都構想には多くの問題がある。橋下市長の人気だけで問題が解決するわけではない。大阪市民は、そのことも含めて選択する必要が出てくるのではないか。今までのように「オモロてナンボ」では同じ失敗の繰り返しである。

2014年1月31日 (金)

籾井NHK会長発言に思う

 安倍総理肝いりで就任した籾井NHK会長が自身の発言を巡って国会に招致される事態となった。従軍慰安婦に関連した部分については左右双方から支持や批判が出ているが、私はむしろ報道機関を預かる者としての自覚に欠ける部分の方が問題ではないかと考える。

 NHKは国費から支出を受けているとは言っても「国営放送」ではない。報道機関の仕事として権力が隠しているものを国民に知らせるというものもある。報道機関としての本質においては、NHKとそれ以外の報道機関との間で差は無い筈だ。ところが、籾井会長は「政府に逆らうことはできない」という趣旨の発言をしている。これは要するに「政府に都合の悪いことは報道しません」と言っているのと同じことで、報道機関として職務放棄を行うと宣言したに等しい。

 NHKが新華社や朝鮮中央通信のように政府の宣伝機関としての位置づけならば問題はなかったのだろうが、それならば受信料を強制徴収するなどということは許されないことになる。今のような巨大組織を維持する理由もない。

 私自身は従軍慰安婦問題についてはかなりの部分が誇張やねつ造であると疑ってはいるが、最終的には歴史研究の中で議論されていく問題であって、報道機関の長と言えども個人的な意見があればそれを職務上問題がある意見だと批難するのは筋違いであると考える。しかし、その意見を国民に伝えて吟味するのも報道機関の役割である。もし、報道機関が「政府に逆らってはならない存在」となれば、国民は政府の決めたことしか知らされないことになる。ネットが発達しているとはいえ、やはり情報は大幅に制約される。こうした「情報統制国家」を肯定するような思想の方が、はるかに危険であると言える。

2014年1月29日 (水)

派遣労働の拡大を決定

 労働政策審議会では派遣労働を拡大させる方向で法改正を行うべしとの最終報告をまとめた。これを受けて派遣法の改正案が国会に提出されるが、経済界からの後押しと与党の安定多数という状況から見て、多少の手直しはされるかも知れないが成立はほぼ確実であろう。改正の骨子は「全業務で無制限に派遣を認める」というもので、働き手の交代が条件であるにせよ、ほぼ派遣に丸投げして派遣先が自社で人を抱え込まなくとも済むようになる。これにより、ただでも有名無実と言われている「直接雇用の申し込み」は完全に夢となろう。この改正案の内容は、派遣業界の要望をほぼそのまま反映したものであり、派遣関係に詳しい人ならばそう驚くような内容ではない。

 現在の労働市場においては、好むと好まざるとにかかわらず派遣会社の占めるマッチング機関としての役割は無視できない。一方で、未だに「気に食わない」という理由だけで派遣契約を打ち切るなど、派遣労働者の人権や生活を無視した振る舞いが派遣先・派遣元双方に多いのも確かだ。特に「派遣先」にとっては、派遣労働者は「資材」扱いであり、人事労務部門の管轄範囲外にされている例が珍しくない。

 派遣を推進している識者は、実際に派遣労働者として働くか、自分の業務の中核部分を派遣に委ねてみることをお勧めしたい。どんなに恐しい思いをしながら働かなければならないか、身に染みるであろう。

 悪質な派遣会社の排除と言う姿勢が打ち出されているが、労務監査の義務化等の厳格な制度が導入されなければ、結局のところ悪質な派遣会社の方が派遣元にとっては「使いやすい会社」として伸びていくことになる。そもそも、「労働規制の緩和」が既定方針である以上、実際に派遣会社を縛るような制度の導入に政府与党が本腰を入れる筈もない。もともと、現在の政府関係者は「市場の中で淘汰」を信奉している者が多いから、悪質な派遣会社によって被害を受けても「自己責任」と言い出すのがオチになることは目に見えている。

 もともと、派遣労働を含む「間接雇用」では暴力団まがいの「口入屋」が介入し、戦前の日本では大きな問題となっていたことから戦後の労働基準法で禁止された。これをまず派遣と言う制度を認めさせ、二十数年かけて最終的にはほぼ戦前と同様の「無制限」を勝ち取った派遣業界と派遣を使いたい財界の執念深さには驚くほかはない。

 「限定正社員」制度の導入は、既に多くの企業で「地域限定正社員」「職種限定正社員」というかたちで実現している。その実は、要するに「非正規労働者並みの時給で働く非正規労働者の統率役」程度のもので、強いて待遇面での違いを指摘すれば「一応は期間の定めがない」「ささやかな賞与が出る」くらいでしかない。

 これからの企業は、幹部以外の所謂「平社員」として従来はひとまとめにされていた労働者もより細分化、階層化が進むことになるであろう。その最下層に来るのが派遣労働者である。この階層社会では、上の者が下の者の雇用継続を含めた大きな生殺与奪権を持つことになるであろう。すなわち、正社員としては末端であっても派遣労働者にとっては神嵜にも等しい存在になれるということだ。

 戦後の我が国では、現場労働者であったとしても上に対して改善も含めて文句を言える職場が長らく続いてきた。これが、現場労働者がラインを止めたり、仕事の進め方を現場で工夫して変えていくことができ、製品品質の向上の原動力となってきた。しかし、上が生殺与奪権を握る組織になれば、助言や提案は「反抗」とみなされ、ただちに労働契約の打ち切りや派遣契約の解除と言うかたちで職そのものを失うことになる。これからは、下層労働者は「言われたことだけやる」「言われていないことはやらない」という姿勢こそ処世術として重要なものになるであろう。日本企業が戦後持ってきた特質は解体されるべきものであるということになる。

 これでどのようにして仕事の質を維持していくのか。かなり難しいが、日本企業が国際的に人を集めて使い潰すことを前提にするにしても、同じ土俵でサムソンなどと戦えるかと言われればやはり難しいのではないか。いずれにせよ、使用者側が労働者側から一方的に収奪するだけの仕組みは、両者にとって長期的には決して良い結果をもたらさないことだけは確かだ。

2014年1月27日 (月)

気球に乗って尖閣侵入事件

 気球に乗って尖閣諸島に侵入しようとした中国人活動家に対して、中国政府が無罪放免を求めていることが明らかになった。日本の裁判所は行政府から完全に独立しており、捜査や起訴を担当する検察当局も行政の一部であるものの他の官庁と異なる強い独立性を持っている。中国政府から求められたところで、政府が介入できる余地は極めて小さい。

 そもそも、このような要求が来ること自体由々しき事態だ。菅内閣の時に尖閣諸島沖で活動家の船と海上保安庁の巡視船が衝突する事件が起きたが、当時の仙石官房長官は船長以下の活動家をさっさと中国に送還してしまった。後から起訴しろと言われてみたところで、犯人が日本の手の届かないところに英雄として凱旋してしまったのだから後の祭りであった。

 このようなことをすればどうなるか。尖閣諸島に侵入したとしても、中国人は罪に問われないということである。少なくとも、中国政府はそのように理解してしまう。いくら首相が靖国神社に参拝しタカ派的言動を繰り返したとしても、こうした問題に一つ一つ取り組まなければ我が国はいつまでも周辺諸国に足蹴にされ小突き回されることになる。

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