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2014年3月16日 - 2014年3月22日

2014年3月21日 (金)

ものを書くということ

 万年筆愛好家でプロデューサーの足澤公彦さんのお話を伺う機会があった。足澤さんは万年筆を使うのにあたり、使える環境と使えない環境があることを述べられた。例えば、サハラ砂漠の中では繊細な万年筆は使えないと。

 私も同感である。私も万年筆は人後に落ちないほど好きなのだが、あまりにも忙しくなってきたため万年筆を握ってじっくり考えるということはほとんどなくなった。パソコンで急いで文章を作るか、プリンターから出力された資料に急いでシャープペンシルで書き込んで指示を出すか・・・という日常が続いている。

 思考力や文章力と言うものを考えてみると、万年筆と言うのは自分の頭で考えたことを咀嚼して、それを紙の上に綴っていくのにちょうどいい時間差を与えてくれる筆記具であると言える。ペンシルやボールペンは早く書くことには良いが、その文章が練られたものになるとは言い難い。考えることと、指を動かすことの「間」が大切なように思える。

 クジラやイルカが「話す」ことが話題になっている。チンパンジーでも絵を描くことがあるらしい(それを絵と認識しているかは分からないが)。しかし、文章を書くというのは今のところ人間にしかできないことである。だが、「じっくり考えながら書く」というプロセスを疎かにしていると、人はどんどん馬鹿になる。私も最近はじっくり考えながら書くということができていない。数秒で答えを出して伝えなければならないような、パブロフの犬のようなことを繰り返しているから、私だけでなく同じようなことをしている者も日一日とバカになっていることがよく分かる。

 少しでも、「書く」というプロセスを仕事の中にも取り戻していきたいものだ。考えない仕事ほど不幸なものは無い。

2014年3月19日 (水)

まずは会えてよかった

 拉致被害者横田めぐみさんの御両親夫妻が、モンゴルのウランバートルで孫と曾孫に面会することができた。長らく叶わなかった面会であるが、これはよかったのではないかと思う。

 確かに、日本政府が何らかの譲歩をしたのではないかと疑われる可能性はある。しかし、高齢の横田夫妻にしても外国に出かけられるだけの健康と体力のある時間は限られている。また、日本政府が北朝鮮に譲歩したいと思っても、それは国民が許すまい。今回の措置は北朝鮮に対して見返りはない「人道的なもの」として両国とも捉えるべきと言えよう。

 一番恐れていたのは、「感動の再会」が北朝鮮あたりで撮影され、ばら撒かれることであった。今回は特に映像は出ておらず、この一件を北朝鮮が宣伝に使うことは難しい。また、孫やひ孫に会うことができたと言っても横田さん本人は「死亡した」ことにされており、未だ面会できたわけでもない。孫やひ孫に会うことはできたが、本質的な問題は何も解決していない。

 北朝鮮は日本がこの問題に関しては譲歩しないことを知るべきだ。人道支援に関しては北朝鮮が今のような瀬戸際外交をやめれば労を惜しまないだろうが、相変わらず独裁政権が瀬戸際外交を続けているようでは国内外の理解を得られない。

2014年3月17日 (月)

国家は自殺することすらできる

 クリミアとセバストポリはロシアへの編入の是非を問う住民投票を行い編入が多数を得たことを受けて、クリミア議会は独立とロシアへの編入を求める決議を行った。この国は、誕生と同時に自殺することになる。

 もともと、クリミアの地はロシアにとって数百年来欲しくて仕方がない土地であった。クリミア戦争も南下するロシアがクリミアを巡ってトルコと衝突したために起きたものである。このあたりは文明の十字路に位置する関係で民族が入れ替わっていたが、クリミア・タタール人などは中央アジアに追放され、かわってロシア人が入りこんで今や多数派を占めている。

 としても、簡単に他国の領土を自国に編入することはできない。軍事力を使えば尚更のこと、「侵略」になってしまう。そこで、クリミアは一旦独立し、その上でロシアへの編入を求めるという二段構えの方法を取っている。異民族であるウクライナ人の支配で迫害されている少数派であるロシア人が民族自決の大義をもって独立し、その上で国際法上主権国家は自殺することすらできるから、独立を放棄してロシアに編入される。どちらも、表面的な話だけで言えば、問題はないように見えてしまう。

 しかしながら、クリミアの独立は背後でロシアが糸を引いているのは確実であり、国際法的にはともかくとして政治的にはロシアのやりたい放題を容認することになってしまう。そこを警戒して欧米諸国はロシアへの制裁に踏み切った。

 とりあえず、ボスポラス海峡を抑えているトルコがロシアの味方にならない限り、ロシアがクリミアを手に入れたとしてもそれで世界の海に乗り出していけるわけではない。ロシアがクリミアを手に入れようとしはじめてから数百年が過ぎているが、その間に世界は「植民地主義」の時代でもなくなった。軍事的な影響力は黒海沿岸に限定されるのではないか。

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