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2013年12月8日 - 2013年12月14日

2013年12月13日 (金)

「我が闘争」の出版禁止継続へ

 ヒトラーが口述筆記された「我が闘争」はナチスのバイブルとして有名である。しかし、この本は名前だけは有名だが、「読んだことがある」という人はほとんど見たことがない。というのも、ドイツでは著作権を管理しているバイエルン州がナチスを賛美する危険があるということで出版を認めてこなかったし、日本でもネット書店で日本語訳が販売されるのを差し止めようとする運動があった。要するに、市中にあまり出回っていなかったのである。

 ところが、ドイツでは2015年に著作権が切れてしまう。そうなると、誰でも出版できることになる。ドイツでは実質的な出版禁止を継続するため、「我が闘争」を出版したらナチスを賛美する罪で処罰するのだそうだ。

 いささか、これはやり過ぎではないだろうか。私はナチスを嫌悪する一方、2000年に及ぶディアスポラの苦難の末に祖国を自らの手で作り上げたユダヤ人に敬意を抱いている。しかし、ナチスやヒトラーの思想を批判するためには、当然ながら彼らが何を考えていたのか知る必要がある。「悪いものは悪い」というだけでは、逆にああいう危険なものに対する危機感が薄れてしまうのではないか。やはり、内容を理解した上で批判するのが適切ではないか。

2013年12月11日 (水)

次は共謀罪

 秘密保護法が通過したと思ったら、次は「共謀罪」を制定するための法改正を政府与党は行うつもりらしい。秘密保護法と同じくらい「共謀罪」の考え方には問題が多い。解説については弁護士が色々書いているからそちらを読んだ方が分かり易いと思うが、秘密保護法に加えて共謀罪が成立すれば、後に来るのは「自粛社会」である。

 これは、力による弾圧よりも時間がかかるが、国民を無知無能にするには極めて有効に方法だ。国民がモノを考えなくなれば、権力者が思いのままに操るのはそれほど難し事ではない。古代ギリシアの衆愚制や帝政ローマ末期の混乱状態がそれを証明している。

 ナチスの社会ですら、ドイツ国民は自分たちは自由だと思い込んでいた。ソ連や中国でも、国民は自分たちは自由だと思い込まされていた。それと同じことが日本国民にも起きるのではないかと危惧しているのは私だけではないだろう。もっとも、今の政府を選んだのは国民であり、政府を支持しているのも国民である。普通の国なら反政府デモや暴動が起きるような状態でありながら、我が国は実に静かである。そうすると、やはり国民が自分で自分を抑圧する道を選んでいたのではないかと後世の歴史家は指摘するのではないか。

 「考えないこと」もまた罪であり、不作為は悪事を容認したのと同じことになる。歴史の教訓はあまりにも重い。

2013年12月 9日 (月)

海上自衛隊が内部告発者を懲戒へ

 護衛艦「たちかぜ」は海上自衛隊二隻目のミサイル護衛艦として長年国防の第一線で活躍し、護衛艦隊旗艦もつとめた。就役末期には上官の嫌がらせにより乗組員が自殺するという事件を起こしている。

 この事件をめぐっては、遺族が真相究明と損害賠償を求めて提訴し、この過程で海上自衛隊側が自殺した乗組員の下宿をひそかに整理して証拠のもみ消しを謀った疑いが発覚するなど、組織をあげての隠蔽体質を露呈することとなった。この「いじめを調査した内部文書は無い」と言っていた海上自衛隊に対して文書の存在を内部告発した三等海佐が懲戒処分にかけられるというのだから、呆れるばかりだ。

 この三等海佐は当初は防衛省内で定められた手続きに則って内部通報窓口に申告したが何の対応もしてもらえず、裁判の過程で文書の存在を示す陳述書を提出するというかたちで内部告発を行っている。ある意味、内部告発事件のお定まりの過程だが、これで懲戒処分が許されるとなれば、そのうち労働者が労働組合や我々に労働相談をすることも「職場の内部情報を漏らした」として懲戒処分や契約更新の拒絶などを含む不利益処分がまかり通るようになるのではないかと危惧せざるを得ない。

 秘密保護法が国会を通過したが、この法律では秘密の範囲はもとより秘密文書の保管や破棄は実質的に行政機関の裁量に実質的には委ねられてしまっている。そして、第三者が秘密性について調査することも出来なければ、後世の検証に委ねることも難しい仕組みだ。このタイミングで、早速情報漏えいだと内部告発者を懲戒処分にしようとする海上自衛隊の姿勢は悪い冗談にしか聞こえない。

 隊内のいじめを放置し、自殺者が続出している中でも隠蔽していたのは海上自衛隊である。そのような中で問題を提起するとすれば、文書の持ち出し等厳密には「服務規律違反」の行動をもって対応せざるを得ない。これは、刑事法で言うところの「違法性阻却自由」と考えるべきなのではないか。私は重大な国防上の機密を扱う自衛隊には専門家で作る第三者的な「軍事監察委員会」のようなものを設置して秘密の保護と組織内部の問題のもみ消し防止するべきだと考えているが、残念ながらそのような仕組みは導入されていない。内部の不正を正すべき機能をマヒさせているような状態で、告発した人間を悪者にするというのは許されるべきではない。

 我が国は民主主義国である。そうである以上、民主主義的な軍隊を持たなければならない。一方的に問題提起や告発を抑え込み組織の悪事を隠蔽するようでは、機密保全に名を借りて何をやり出すか分かったものではないと左翼あたりに攻撃されても仕方がないではないか。

 公的機関がこのように内部告発者に不利益な処分を行い、組織の問題を何ら改めないということになれば、民間企業もそれを見習うのは自明の理というものだ。行政ができないことを民間がやるわけはないのである。今回の問題は単なる自衛隊の機密情報の取り扱いの問題と言うだけでなく、企業内部の不正を企業外部の第三者、それは裁判所も含まれるようだが、そうしたところに相談するだけでも懲戒にされるという極めて危険な社会に転換してしまう危険性を孕んだ問題であると言えよう。

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