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2013年10月27日 - 2013年11月2日

2013年11月 1日 (金)

山本太郎参議院議員直訴事件

 天皇陛下に対して民の窮状を訴えるために直訴状を提出する、明治時代には足尾銅山鉱毒事件等での田中正造衆議院議員の例があるものの、平成の時代に本当にこんなことをする人が出てくるとは驚いた。山本太郎参議院議員が園遊会において天皇陛下に直接手紙を手渡すという事件を起こした。原発労働者等の問題を陛下に知っていただきたいと山本議員は主張している。

 残念ながら、「直訴」は時代錯誤だ。そもそも、天皇は君主であるとしても憲法上政治的な決定権はもとより、発議する権利すら持っていない。明治時代には名目上であったとしても「統治権の総攬者」であったが、今やその名目すら持たないのである。しかも、国民と国家の統合のための象徴である以上、特定の勢力に肩入れすることもできない。無論、陛下として人間であるから想いはあるだろう。しかし、それを表沙汰にすることは許されないし、それができないことをよく自覚されているのは言うまでもなく陛下ご自身であろう。

 今回の山本議員の事件は、憲法上の天皇の地位と職責を誤解した上、天皇陛下を政治的に利用しようとした行動と取られても仕方がない。余りにも軽率であったと言える。

 そもそも、天皇陛下は山本議員から直訴を受けなくとも問題の多くは既にご存じであろう。天皇は直接政治的なメッセージを発することはできないが、「おことば」の中ににじみ出てくるものがある。「おことば」の中に、しばしば弱者に対する気遣いや思いやりを感じることができる。最近では非正規労働者など経済的弱者に対して配慮するお言葉があったが、非正規労働者に関する問題を陛下が「理解」されていなければ配慮するような発言など出てくるわけがないからである。

2013年10月31日 (木)

第三次天安門事件?

 中国北京の天安門広場で車が暴走し炎上するという事件が起きた。中国政府はこの事件なのか事件なのか判然としない事象に対して神経質な対応をしている。この件を報道するNHKの衛星放送は中国ではカットされてしまった。

 中国政府が神経を尖らせるのは無理もない。天安門は建国以来の中華人民共和国の象徴的な場所であるとともに、権力闘争の場所であり、時の権力者に対する民衆の怒りの声を上げる場所でもあったからである。日本で「天安門事件」と言えば学生デモを戦車で蹂躙した第二次天安門事件を思い出す人が多いだろうが、その前の第一次天安門事件は周恩来総理の死を弔うための集会が徐々に当時の政権を牛耳っていた毛沢東主席+四人組(日本では専ら「四人組」が悪役にされているが、中国人に五本指を示すと分かる人は分かる)に対する批判集会に発展した。

 昨年の反日デモ騒動も、その実態は反政府・反中国共産党デモであった。かつて中国はソ連のフルシチョフ政権を修正主義者とを表立って批判できない時は「ユーゴスラビア修正主義批判」というかたちで間接的にソ連を批判していた。中国人の意思表示は表向きの態度とは別にその裏を読む必要があるが、このあたりの事情を熟知しているのは他ならぬ中国共産党幹部たちである。当然、「反日デモ」が「反日」でないことくらいは分かっていた筈だ。

 今回の事故?についても、それがいつの間にか第三次天安門事件になることを警戒しているのだろう。そうでなければ、中国政府が神経質になる説明ができない。同時に、現在の中国は貧富の格差の拡大や環境の悪化、労働者の人権無視など、一般市民の不満は鬱積しているというのが実情である。高度成長期の我が国にも同じような問題があったが、日本では自由選挙の中で政府を批判でき、労働組合が団体交渉やストライキを行うこともできた。その中で、支配階層や富裕層は富や権力を中産階級以下に分配することになり、これが日本の分厚い中産階級と、活発な消費を行い経済を回転させ日本企業を飛躍させる原動力となった。ところが、中国では高度成長が進んだにもかかわらず日本で見られたような反発したり要求したりする自由は全て抑圧されている。

 そして、現在の中国人は日本や韓国のみならず、海峡を挟んで交流が深まった中華民国・台湾という「もうひとつの中国」が自由を謳歌している姿を間近に見ることができるようになった。先の台湾総統選挙は現職の馬英九総統と民進党の蔡英文元行政副院長の間で争われ馬総統が当選したが、蔡主席が堂々と「敗北宣言」した姿は、「敗北宣言をする自由がある」ことをもって大陸人民に衝撃を与え、「台湾総統に親中派が当選した」という中国共産党の望んでいたネタはどこかに飛んでしまった。

 今回の事故は抑え込めるかも知れない。しかし、今の中国政府と中国共産党が何をやっても内外から疑いの目で見られていることは事実であり、中国での不満の爆発は時間の問題ではないか。中国共産党は近く中央委員会総会を行う予定であるが、ここで民主化に向けた舵を切れるかどうか、恐らくはプロレタリア独裁を堅持することになると思うが、どのような対応をするか注目される。

2013年10月29日 (火)

安倍総理のトルコ再訪

 安倍総理が再びトルコを訪問する。就任して1年足らずで二度目の訪土はかなり異例なのだそうだ。ボスポラス海峡に円借款で海底トンネルが作られているが、この竣工式に出席するとともに日本の原発輸出を確実にしたいという。

 トルコは一貫して日本に対して厚い友情を示してくれた国である。有名なところではイラン・イラク戦争でのトルコ航空機派遣だが、この他にも日本のOECD加盟で後押ししたのはOECD発足当初からのメンバーであったトルコだった。最近ではIOC総会で東京オリンピックが決まった直後、真っ先に安倍総理に駆け寄って祝意を示したのは敗れた側であるトルコのエルドアン首相だった。

 トルコとの関係強化は望ましい。しかしながら、あからさまな「原発のセールスマン」として行くのはいかがなものだろうか。かつて、池田勇人首相がシャルル・ド・ゴール大統領に「トランジスタのセールスマン」と言われたことがあるが、ド・ゴール大統領にしてみれば日本の首相とは広く国際的な問題解決を論議したかったわけで、単に日本製品を売り込みに来るだけならまともな話などしても仕方がないということだった。エルドアン首相はさすがにド・ゴール大統領のようなことは言わないだろうが、単に物の売り込みがメインなら、腹の中では軽蔑するに違いない。

 トルコは台湾と並んで世界でも有数の親日国だ。しかし、それに見合う態度を日本が示することがなければ、失望を招くのは必至であろう。

2013年10月27日 (日)

アメリカがドイツ首相の携帯盗聴

 アメリカがドイツ首相の携帯を盗聴し続けていた疑惑が浮上した。ワシントンでは政府による盗聴を批判するデモが行われている。

 もともと、アメリカが電子メールなどを「傍受」しているというのは周知の事実だ。メールの単語を拾っていき、そこからアメリカにとって目を付けるべき人物のアドレスを抽出するというシステムだという。私もアメリカにいる人物と「テロ」とか「アルカイダ」という単語の入ったメールをやり取りしていたから、ひょっとしたらアドレスが「登録」されているかも知れない。

 もっとも、外交戦にとって相手の手の内を知るのは重要なことであり、アメリカがワシントン軍縮条約や日米開戦直前の交渉で日本の手の内を知って対抗策を練っていたことはよく知られている。1920年代に国務長官をつとめたヘンリー・スチムソンは「紳士は相手の手紙を覗き見するものではない」と言って国務省内の通信傍受・暗号解読チームを解散させたと言うが、これは例外ですぐに復活している。

 どうもドイツ首相の携帯電話は10年に渡って盗聴されていたようだが、こうなるとむしろドイツ側が盗聴を警戒していなかったのではないかと脇の甘さを指摘する声が出てくるのではないか。日本も同様で、首相の携帯電話は「盗聴されている可能性がある」ことを考慮して行動する必要がある。

 ただし、他国の指導者の情報を得ようとするのは国益と言う点から正当化できるとしても、自国民の電話を政府機関が盗聴するのは人権の点から言って問題であろう。

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