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2013年9月22日 - 2013年9月28日

2013年9月27日 (金)

優勝おめでとう!東北楽天ゴールデンイーグルス

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 東北楽天ゴールデンイーグルスがパリーグ優勝を果たした。球団創設から9年、震災に打ちひしがれた東北を勇気付けた。たまたま私は仙台駅構内を歩いていて、駅の中にある楽天ショップに入ってみたところ、ちょうど8回あたりで盛り上がっている最中であり、気が付いたら後から入ってきた人で出られなくなってしまった。折角なのでそのまま優勝を楽天ファンの皆様と一緒に見届けて喜んだ次第である。愛知県の人間としては星野監督はどうしても「中日」というイメージがあって、楽天のユニホームにいささか違和感を覚えないではなかったが、「やはり星野監督」という感じがしたものである。

 思えば、近鉄バッファローズが立ち行かなくなり「1リーク制」をはじめとするプロ野球の再編問題が起きたのは2004年であった。あの騒動がなければゴールデンイーグルスは生まれなかった。2005年の大阪大学大学院の口頭試問で「少子高齢化問題」と並んで「1リーク制の問題」が出題された記憶がある。幸い私は少子高齢化問題に当たったのだが、1リーグ制に当たっていたらどうなったか分からない。

 2004年のプロ野球再編問題では12球団でストライキも行われ、労働問題や労働法の観点からは、プロ野球選手が労働者にあたるか、選手会が労働組合にあたるかなど興味深い問題が生じている。結果的に近鉄バファローズはオリックスに吸収され、新たにゴールデンイーグルスが創設されたが、バファローズの職員や選手はオリックスと並んで一部がゴールデンイーグルスに引き継がれているから、今回の優勝は彼らにとって感無量の事であろう。

 ゴールデンイーグルスを運営している楽天は医薬品販売問題で政府を動かして自分たちに有利なルールを作らせ、オリックスは宮内会長が小泉改革で同じようなことをやっている。日本ハムは偽装、西武に至っては伝統的なブラック企業と言われており、運営母体がみんな一癖二癖あると皮肉な見方ができなくもない。

 引き続きクライマックス・シリーズがあり、そして日本シリーズが控えている。あの一連の騒動で交流戦なども行われるようになり、日本の野球がよりハラハラしながら観られるものになったことは確かである。プロ野球はスポーツであるとともに興行だから、この方向性は間違っていなかったと言えるだろう。引き続き、国民を楽しませてくれることを期待したい。

 最後になるが、大阪では阪神が優勝するとファンが道頓堀のドブ川に飛び込むという奇行があり、ソフトバンクも優勝するとファンが中洲に飛び込んでいた。楽天の優勝は今回がはじめてだが、これを機会に広瀬川や名取川に飛び込むという馬鹿な風習が生まれないことを祈りたい。

2013年9月25日 (水)

ムスリム同胞団の非合法化は逆効果

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 エジプト行政裁判所はイスラム原理主義組織と言われる「ムスリム同胞団」とその政党部門である自由公正党に対して解散を命じる判決を言い渡した。エジプトの行政裁判所の手続きについては詳しくないが、解散判決を求める勢力が出訴し、それに応じて行政裁判所が解散を命じる判決を出したということである。

 ムバラク政権崩壊後高まったイスラムの潮流の中で、従来は地下に潜っていたムスリム同胞団が勢力を伸ばし、一時はモルシ大統領を擁して政権の座に就いた。しかし、イスラム色が強まったことを警戒する軍部のクーデターによって引きずりおろされたのは記憶に新しい。

 エジプト政府としては反政府勢力となっているムスリム同胞団を解体することで政権基盤を強化したい狙いがあるものと思われる。加えて、エジプトは欧米諸国の援助を必要としているが、911テロ以来欧米諸国は「イスラム原理主義勢力=テロリスト」であり、欧米諸国の信頼を得ることによってスムーズな援助を引き出そうという意図があるのだろう。

 確かに、モルシ政権下では「イスラム国家樹立」を叫ぶムスリム同胞団が大きな力を握り、「イスラム法に基づく国づくり」を掲げた憲法を作ろうとしたり、少数派のコプト教徒を圧迫していた。もともとエジプトはイスラム諸国の中ではトルコほど徹底はしていないが世俗的な国であり、世俗的なエジプトを望むのであれば、イスラム原理主義を掲げたムスリム同胞団は脅威そのものだっただろう。規制をかけていこうというのも理由がないわけではない。

 しかし、ムスリム同胞団は単にイスラムを掲げたからエジプト国民の支持を得られたわけではない。エジプトという国は日本では知名度が高い国だが、その国内実態はあまり知られていない。私はエジプトを訪れたことがあるが、「中国奥地より酷い」という感想を抱いた。外国人旅行者の立ち寄る一部を除けばインフラは貧弱で不衛生、国民の教育程度は低く奥の国民が読み書きができない、貧富の格差は大きく、警察官が公然と賄賂を求めるなど、一言でいえば国全体から腐敗臭が漂っているという印象であった。このような国では、弱者に対する保護を政府機関に求めることは難しく、実際にエジプトの政府機関は貧困層に対してまともな対応をしてこなかった。

 エジプトの貧困層に対する福祉、教育を担っていたのがムスリム同胞団をはじめとするイスラム団体であった。もともとイスラム教には「喜捨」という考え方があり、金持ちになってもそれはアッラーのお恵みであって社会に還元することが貴い行いとされている。政府の福祉からこぼれた人々に対して救いの手を差し伸べてきたのがイスラム・ネットワークに属する団体であり、ムスリム同胞団もその一つであった。ムスリム同胞団は単なる宗教団体ではなく、社会活動団体としての色合いも強い。医師や弁護士など社会的地位の高い人々が参加していたこともあるから、これでは影響力を持たない方がおかしい。福祉や教育を担うことでイスラム原理主義団体が貧困社会に浸透・蔓延しているのはエジプトに限った話ではなく、パレスチナでもイスラム原理主義組織「ヒズボラ」が勢力を持っているが、自爆テロを行う一方で福祉教育部門を持ち、パレスチナでの福祉教育に無視できない地位を占めている。

 残念ながら、エジプトにしろパレスチナにしろ、経済が即座に好転する要素は見当たらない。そもそも、教育程度の低い国民ばかりでは高度な産業を興すこともできないから、当然の事だろう。その僅かな利益にしても、財閥や役人と結託した政商が暗躍している。エジプトの政変も見方を変えれば「革命の利益をしゃぶりつくす」争いであった。ムバラク政権の残党はもとより、ムスリム同胞団も政権与党になった時にやっていたことは左程違わない。いずれにせよ、政府から見放された人々の教育・福祉はイスラム団体が担わざるを得ない。非合法化されたところで、地下活動やダミー団体を使って市民に浸透することは難しいことではない。

 非合法化してしまうということは、政府与党と対話や交渉を行うこともできなくなるということである。彼らが自分たちの意見を通そうとすれば、非合法闘争に走ることは目に見えている。交渉窓口がないまま相手が非合法闘争に走り出せば、それこそ本当に殺すか殺されるかの闘争をやるしかない。それが泥沼化していくのは紛争地を見ていれば誰でもわかることだ。

 かつて、日本共産党は「武力革命」を掲げて非合法闘争を行っていた。あまり詳しいことは判明していないが、毛沢東を真似して山奥に籠り、軍事訓練を行っていたらしい。幸いなことに国民が共産党の武力革命路線を支持しなかったので議会選挙を通して合法的な戦いを進める方向に転換したのだが、それを潔しとしないで共産党を去って行った人々も少なくなかった。中国共産党からは武力革命を求められ、日本共産党と中国共産党が長らく対立状態にあったことはよく知られている。

 歴代自民党政権は共産党に対して最大の警戒をもって接していたのは確かだった。1950年代から60年代にかけて、西側諸国では「反共」の嵐が吹き荒れた。台湾や韓国では共産主義者は片っ端から逮捕されて秘密裏に投獄された。日本でも共産党を「非合法化」しようとすれば、全く不可能ではなかつただろう。しかし、それをやっていれば、議会闘争と言う手段を失った共産党は再び武力革命路線に走ったかもしれず、そうなっていれば日本はどうなったか分からない。ネパールやタイやフィリピンの共産ゲリラに対してと同じように、中国やソ連が資金や武器の供与を行った可能性は高い。共産革命が成就したり一定の実効支配地域を確保できなかったとしてもゲリラ戦でも続けられればネパールのような政情不安の原因となった可能性もある。しかし、議会選挙を通じた合法闘争までは排除されなかったことで、共産党は時の政権与党に対する警鐘乱打の政党として一定の地位を占め続けている。これは長い目で見れば、日本の政治にとって非合法化するよりも良い結果をもたらしたと考えられる。

 議会闘争を通じて合法的な論争を行うことができれば、対話や妥協も考えられる。反対派の意見も尊重し、ある程度取り込むことで全体として丸く収めることは民主主義国では当たり前の政治の風景だ。しかし、ムスリム同胞団とその関連団体を一網打尽にして活動を禁止してしまったら、こうした対話や妥協はもう不可能になってしまう。そして、対話の場を喪ったムスリム同胞団を狂暴なテロ集団に変貌させる引き金になるのではないか。

 無論、ムスリム同胞団の扇動する暴力的な行動についてはエジプト政府が厳格な制裁措置を取るのは当然の事であろう。一定の活動の制約を行うことも必要だ。しかし、全ての活動を完全に非合法化してしまうことは、むしろ逆効果になりかねない。

2013年9月23日 (月)

JR北海道事件

 JR北海道で事故が続いている。ディーゼル特急から出火する事故に加えて、今度は貨物列車の脱線事故をきっかけに線路の異常を報告されていながら補修を「失念」していたいう呆れた実態が明らかになった。死人が出ていないのは不幸中の幸いと言うべきで、死者が出ていたとしても何の不思議もない。

 民間企業では、残念ながら安全対策は後回しになりがちである。華やかに実績をPRできるところではないし、昨今の「成果主義」の風潮では簡単に目に見える「成果」を出しにくいところは軽視される傾向にある。安全対策の予算を求めたとしても、「その予算でどの程度の収益になるのか目に見えるかたちで出せ」と言われてしまえば納得させられる数字を出すのは容易なことではない。

 国鉄の分割民営化は成功したと言われている。しかしながら、新幹線というドル箱を抱えているJR東海の管内で暮らしているとあまり実感できないのだが、ローカルな不採算路線を簡単に切ることができないJR北海道やJR四国の経営は厳しい。その中でも札幌と函館の間は特急列車が行き交う「最重要路線」の筈なのだが、そこすら不備が続発していたということは、JR北海道ではそもそも安全対策に対する認識そのものが欠落しているのではないかと疑わざるを得ないところだ。

 「北海道には大手私鉄がなく、競争がないから駄目になったのではないか」という意見もあるが、大手私鉄との競争に晒されているJR西日本が福知山線で重大な事故を起こしたのを忘れているらしい。競争をすればよくなるという短絡的な思考からそろそろ脱却した方が良い。JR西日本でも大手私鉄との競争のため目に見える新型車両の投入や時間短縮には積極的だったが、自動列車停止装置の設置や労務管理については後回しにし続けた。その結果、2005年4月に大惨事を起こしたのである。

 安全対策については、民間企業の良識に頼るのは現実問題として難しいのではないか。少なくとも「安全を啓発」するだけでは不十分で、積極的な立ち入り調査や内部告発の受付などを行うことが公的機関としては必要なのではないか。「市場原理」に照らせば、事故や事件を起こして人が死ねば市場競争に負けて淘汰されるということになる。しかし、死んでも「自己責任」では浮かばれない。

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