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2013年7月7日 - 2013年7月13日

2013年7月13日 (土)

宝塚市役所放火事件

 固定資産税を延滞したことによる口座差押に立腹した男が宝塚市役所を訪れ、油を撒いて放火するという事件を起こした。死者が出なかったのが不幸中の幸いだが、身勝手な理由による犯行である。

 それにしても、行政に対する理不尽な暴力やクレームは増えるばかりである。「行政はサービスである」という認識はすっかり一般化したが、一方で行政に対して何を要求しても許されると勘違いしている人も珍しくない。「殺してやる」「火をつけてやる」「家まで乗り込むぞ」・・・など、昔から土建業者ややくざなど役所に対して政治家などをバックに横暴な態度を取る人たちがいなかつたわけではないが、クレーマーになるのは今や主として一般人である。今回の被疑者も、税金は滞納していたがこんな事件を起こすような危険人物とは見られていなかった。窓口業務もこうなると命がけで地雷原を歩くようなものである。

 苦しい自治体の財政事情、生活保護制度の厳格化、貧困化など、トラブルの原因はいくらでもある。成長期・希望の持てる時代であればともかく、坂道を転がり落ちるように転落していく時代には悪い意味でみんな必死にならずさるを得ないし、取れるものは取ろう、出さなくても済むならば出さないようにしようということになる。余裕がない社会になれば、いきおい他者への寛容さや鷹揚さも無くなっていくのは当然のことと言えよう。こうなると、行政側も理不尽な要求や暴力沙汰に対しては断固たる態度を取っていかなければならない。「声の大きな人」が得をするような社会になってはたまったものではない。不当な理を得る者が出てこれば、救済されるべき者が救済されないという結果をもたらすことになる。

 難しいのが窓口対応だ。毎日罵倒に耐え、理不尽な要求を必死に拒否し、丁重な説明をすなければならない生活をしていれば、心身強健な者であったとしても心を病むことは確実だ。実際、民間企業のクレームをアウトソーシングして受けている企業では、精神疾患の患者が続出するブラック企業と化しているという指摘もある。公務員の精神疾患の問題は、こうした行政の窓口対応が難しくなっていることと無縁ではあるまい。

 「公務員は高い給料を貰っているから罵倒されて当たり前」という意見はネット上だけでなく市井のあちこちで見かける。行政に対するクレーマーなどは、明らかにこうした前提に立って行政の窓口で迷惑行為を繰り返している。しかし、この前提はそもそも誤りだ。今や、役所の窓口は何処に行っても非正規の公務員かアウトソーシングである。宝塚市に近い池田市など、自治体によっては正規職員よりも非正規職員の方が多い所すらある。その待遇たるや高給優遇どころか地域最低賃金レベルであることすら珍しくない。現在は中央省庁から地方自治体に至るまで、低賃金労働者を「弾除け」にするのが普通で、公務関連労働は今や使い捨てが当たり前のブラック企業まがいの状態になっている。何しろ、法の番人である筈の法務省が委託していた企業が社会保険に入らず不払い残業の横行する「無法地帯」だったのだから、もう悪い冗談にしか聞こえない。

 「民間にできることは民間に」というアウトソーシングの拡大と公務員削減に伴い、正規公務員の仕事は非正規公務員や外部業者への指揮命令という管理者的業務に移行しつつある。どんな職業でも、現場から離れれば離れるほど「人間性」を喪って数字ばかり追いかけるようになるが、行政でもそれと同じことが起きるのは時間の問題であろう。非正規公務員を含む公務関連労働者の職務を調査したところ、窓口や訪問など市民に身近な部門には非正規労働者が多く配置され、管理部門への配置は極端に少なかったという結果も出ている。

 窓口業務はますます過酷になっていく一方、「使い捨て」前提の人たちがまともな待遇を受けられるわけもなく、応対能力を磨く機会も与えられない。改善提案などしてみたところで、上席にいる正規の公務員は「減点主義」なのだから軋轢を生むことになるのみならずご機嫌を損なって職を失うことにもなりかねない。結果、行政の窓口で働く公務関連労働者達は顧客と管理者の双方から圧迫を受けるという厳しい立場に立ち続けることを余儀なくされる。

 しかも、クレーマーと言えども役所にとっては「お客様」である。サンドバッグ状態になる窓口労働者は「使い捨て」できる一方、下手にお客様を怒らせれば役所が「冷たいお役所」と非難されることになりかねない。管理者的立場に立つ正規公務員にしてみれば、きっぱりと拒否して役所に対する批判を招くより、窓口の非正規労働者を叩かせることでご満足いただければそちらの方がいいわけだから、クレーマーは今回のような事件でも起こさなければ刑事責任を問われることはそれほど多くないというのが実情のようだ。

 今回の事件で行政の窓口は大変にリスクの高い仕事であることが多少は知られることになったわけだが、窓口業務をどのように行っていくのか、自治体は再考する必要があるのではないか。少なくとも、今のような「非正規労働者を弾除けにする」という手口では不正不当な要求に対して行政として断固たる態度を取るなどということはとてもできそうにない。

2013年7月11日 (木)

トルコライス

 長崎市のB級グルメに「トルコライス」というものがあるそうだが、何とこの料理は上にトンカツが乗っているということで、トルコ側が「トルコライス」と呼ぶことに難色を示しているそうだ。無理もない話で、トルコは世俗化していると言っても国民の大半がイスラム教徒。そして、ムスリムにとって豚肉は「食べてはならぬもの」の代表格である。

 「トルコライス」と呼んではいるものの、実際にトルコとの関係は無い料理と見られている。しかしながら、かつて「ソープランド」を「トルコ風呂」と呼んでいたように、誤った呼称から誤ったイメージが拡散してしまうリスクは否定できない。

 長崎は中世以来外国との窓口になってきた都市であり、日本とトルコの友好関係のきっかけとなったエルトゥールル号事件でも、最初にエルトゥールル号が寄港したのも長崎であれば生存者が発ったのも長崎だった。そういうわけで、長崎市では「トルコとのつながりを築きたい」と、エルトゥールル号事件の起きた日を「トルコライスの日」にしているそうだ。志はいいことだと思うが、トンカツの乗った料理はさすがにトルコに対してはまずい。せめて、牛肉か羊肉にしてはどうか。チキンカツでもかまわない。

2013年7月 9日 (火)

すっかり年中行事になった中国艦船の尖閣出没

 中国艦船の尖閣出没はすっかり慣例行事になりつつある。1980年代から出没を繰り返してはいたが、長く一般のマスコミが報道することは少なかった。最近では出没するたびに報道するようになってはいるが、いつの間にやら異常事態は常態化、一般市民の関心はどんどん低下している感がある。

 としても、中国側の「浸食」を放置しておくわけにはいかない。日本側が三十年近く漫然と放置していた結果が中国の領有権主張であり、具体的な浸透活動を招いたとも言えるからである。尖閣周辺では海空の自衛隊や海上保安庁が二十四時間の監視任務に就いている。単に攻撃されないよう監視を続けるだけでなく、日本側が誤った有形力の行使をすれば相手側に口実を与えてしまうから、そのあたりも注意する必要がある。緊張を強いられる任務であろうことは想像に難くない。

 一番恐ろしいのは中国よりも、日本国民の無関心ではないか。国民が無関心になれば、前線にいる関係者の士気の低下は免れまい。今は目立たないと予算や人員を削減しろの大合唱がはじまるから、そのようなことになれば待遇面の維持もできなくなることすら想像される。そうなれば、前線部隊の崩壊ということになりかねない。

 一番恐ろしいのは、異常事態の常態化から来る「慣れ」なのではないか。

2013年7月 7日 (日)

イージス艦8隻体制

                   

 防衛省は現在6隻のイージス艦を8隻に増強する方針を固めた。弾道ミサイル防衛の体制強化の一環だという。イージス艦と言っても全ての艦に弾道ミサイル防衛能力が付与されているわけではなく、現在の「こんごう」型「あたご」型も就役後の改造で弾道ミサイル防衛能力が付与されておりいわば「オプション」なのだが、この改装が一段落したから、新たな艦を導入しようということだろう。

 ミサイル防衛に出動するとしても艦はともかく乗組員には疲労と練度の問題があって、6隻全部を前線に展開できるわけではない。北朝鮮はいつも「突然」にミサイル実験や核実験を行うから、即応できるイージス艦が増えるというのは望ましいことではある。

 加えて、中国海軍空軍の増強にも警戒する必要がある。空母を持たず空中給油機も少なく、沖縄周辺に大規模な航空自衛隊基地もない日本にとって、海上部隊のエアカバーは容易ではない。イージス艦が艦隊防空を担うことになるわけだが、イージス艦が増強されればこの面でも前線部隊の負担は軽減できるだろう。

 問題は、一隻2000億円を超えると言われる取得費と、300名の人員を配置しなければならないということで、安倍政権になってから国防関係の予算は優遇されているとは言えこの負担は容易ではない。イギリス海軍の場合は旧式艦はもとより比較的新しい艦まで片っ端から退役させて国防コストを削減したのだが、現在周辺諸国と目立った緊張関係のないイギリスと、そうでない日本とは取り得る手法も当然異なる。また、社会保障関係の予算は削減圧縮が叫ばれている中で、そもそも一体イージス艦は「何を守るのか」という根本的な問いもされなければならないのではないか。

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