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2013年2月23日 (土)

東浦町元副町長統計法違反事件

 我が長久手市は人口5万人を突破したことで2012年1月に町から市に移行した。今でこそ市町村は単に人口の大小を示す意味合いが専らだが、明治時代には都市化した都市部とそれ以外の農村地帯という人口以外の線引きもなされていたことを忘れてはならない。都市部と農村部の違いは人口の大小で安易に線引きできる話ではなく、住民の思考やメンタリティ自体もかなり異なる。これは日本だけの話ではなく、中国ではもっと差異が大きい。

 現在では合併して人口要件を満たせば市になれるとあって、一昔前までは合併がブームであったし、それによって実質的には寒村としか言いようのないところまで市になっていることが珍しくない。それでも、「郡部」の自治体関係者にとって「市制施行」はひとつの「夢」であるようだ。

 愛知県東浦町の元副町長が副町長在任時に国勢調査のデータを町ぐるみで水増しして「市制施行」を狙っていたのではないかとの疑惑が浮上している。容疑は統計法違反ということで、そもそもこんな法律で逮捕されるのかと今更ながら驚いているが、統計は施政を決めるのに重要なものだから、それを改ざんすることは重大な犯罪という考え方は理解できる。

 統計、特に人口統計は古来から洋の東西を問わず非常に重要なものとされてきた。古代ローマでは統計の最高責任者をつとめる「ケンソル」(財務官と訳される)の格式は国家のトップである執政官に並ぶもので、実際に執政官経験者が就任するポストであった。発展途上国がなかなか「信用」されない大きな原因は、統計が取れていないか、その統計に信憑性がないからだ。北朝鮮などに至っては、そもそも統計自体を公表していないので、実のところ人口がどのくらいかすら正確には分からない。中国にしても、人口統計が正確ではないということは周知の事実だし、経済統計にしても怪しいものだとされている。

 そう考えると、元副町長が主導した町ぐるみの統計改ざん行為が事実だとすれば、故郷を「市」にしたいという愛郷心から出たものであろうとは思われるが、日本の統計制度そのものの信憑性を揺るがす重大な犯罪であると言わざるを得なくなる。

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