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2013年2月 3日 (日)

在トルコ米国大使館爆弾テロ事件

 トルコの米国大使館で爆弾テロが発生し、トルコ人の警備員が死亡する事件が起きた。いつものイスラム原理主義勢力による自爆テロかと思ったが、左翼過激派である「革命人民解放戦線」の犯行であるという。この団体は極端な反米欧・反資本主義を掲げているが、現状に不満を持つ若者の支持も集めていたという。

 エルドアン政権のもとトルコ経済は上向きだが、やはり恩恵はトルコ西部と都市部に集まり、東部アナトリアと農村部はなかなか恩恵に与れない。この構図はトルコ革命後にムスタファ・ケマル大統領指導の下でトルコが近代化に進んだ時と同じ構図だ。この時に近代化の恩恵を受けられなかった人々は多く、これらが1960年代以降にトルコの世俗主義が緩和されるとイスラム系政党の支持基盤となり、現在のイスラム系政党である公正発展党政権につながっている。

 何処の国でもそうだが、経済が上向いているという数字が出ていても、国民に広く恩恵が行き渡っているとは限らない。いくら「自己責任」「自助努力」を吹き込んでも、それを敗残者が理屈の上では納得していても、不満というものは簡単には消えるものではない。トルコの経済は順調に発展しているが、取り残される者たちが不満を抱くのはもっともな話であり、過激派が付け込む隙は十分にある。まして、イスラムは本質的に「富の再分配」を行ってきた組織であり、不公正発展に対するイスラムの怒りと結びつく親和性は十分にある。

 トルコが左翼革命やイスラム革命によって転覆される可能性は少ないものの、「富の不平等」に対する不満が噴出しつつあるのは事実だ。そして、イラン等「イスラム革命」は名目上はイスラムの怒りだが、その背後には欧米資本に経済を牛耳られ富の偏在が続くことに対する不満があった。現在の「イスラム原理主義勢力」伸長の苗床になってきたのも、単なる宗教上の「不信心者」ではなく富の不平等に対する不満であった。

 もともと、現在の公正発展党政権は富の偏在に対する不満を背景にして成立した政権と言える。この問題にどう取り組むか、エルドアン政権の大きな課題と言えるのではないか。

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