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2012年10月7日 - 2012年10月13日

2012年10月13日 (土)

入党の条件

                     ファイル:Bundesarchiv Bild 102-16196, Nürnberg, Reichsparteitag, SA- und SS-Appell.jpg

 大阪市の橋下市長が自ら代表をつとめる「日本維新の会」の党員について、党員資格に制限を設けたい意向を示した。「日本維新の会」では代表選挙で党員は所属国会議員や地方議員と同等の一票を行使することになるので、党員として「誰でもいいというわけにはいかない」という。また、橋下市長と異なる意見の持ち主が大量入党してこれば乗っ取られかねないという危機意識もあるのだろう。なかなか、画期的な試みとして評価したい。

 主要各党では、党員になる門戸は広く開かれている。自民党や民主党では建前上は「政策に賛同し・・・」などとなっているが、実際には数千円の党費を支払えば誰でも党員になることができる。党籍のある議員には党員集めのノルマがあるし、比例代表の名簿登載順位が党員獲得の数によって決められた結果名義借りが蔓延したことで参議院の比例区が非拘束名簿方式に変更された経緯もある。議員が個人後援会の会員に頼んで党費を納めてもらうというだけというのが実態に近いと言える。したがって、党員と言っても別段特別な存在ではなく、政策立案や意思決定に加われるわけではないし、公認候補になれるわけでもない。せいぜい代表選挙の時に国会議員の数万分の一程度の重さの一票を行使するくらいである。例外的に、共産党は入党のため一定の訓練期間が設けられているそうだが、かつては「鉄の規律」を誇った同党も党員の減少は深刻であるため贅沢も言っていられないらしい。

 いずれにせよ、日本の党組織は基本的に個人後援会が別の名前で出ているだけというのが実態に近いこともあり、党員の質について問われることはほとんどなかったし、党員も個人後援会員としての枠を超えて党員・党組織の一員として行動することもなかった。「一党員」は議員という地位に比べて、極めて低い地位しか与えられてこなかったのである。

 これが、議員と「対等」の投票権が付与されるというのだから、それだけも従来の政党の党員とは比較にならない厚遇だ。いきおい、入党に対しても厳密にならざるを得ないのは理解できる。

 しかし、はじめから「反党分子」を組織に入れない口実と見ることもできるし、「党費」という魅力的な金集めの手段を放棄できるかどうかは不明である。日本の政治制度は「政党政治」を前提としていると言われている以上、政党組織や党員の在り方はもっと真剣に議論されてもよい問題であった。今後の日本の政党の在り方を考える上で、今後の維新の「党員集め」に注目すべきであろう。

2012年10月11日 (木)

研究者増員と問題点

              

 クローズアップ・現代にiPS細胞によってノーベル医学賞を受賞する山中教授が出演し、その中で自身の属するiPS研究所の研究員の大半は非正規労働者で正社員は1割、今後はそういう人たちの場を作りたいという趣旨のことを述べていた。

 研究者にとっては歓迎すべき発言であろう。何しろ、今やどこの大学にも任期制の教職員が溢れ、分野を問わず若手研究者の就職難が問題になっている。任期制の臨時雇いである以上、プロジェクトが終われば椅子はなくなる。最近流行の産学共同にしても、企業側がもう金を出さないと言えばそれまでだ。自分の歩いていく道の先が長いのか短いのかは別にして、ともに断崖絶壁しかないとなれば、その道から外れたいと望むのはもっともなことである。かくて、最先端の研究を志すよりも、安定した身分と収入が得られる道に人が流れることになる(実際には、研究者志望であった者が公務員はともかく民間企業で上手くやっていくのは容易なことではないし採用も限定的ではあるのだが)。或いは、短期間で見かけ上の成果を挙げやすいものに流れる。そうした現状に鑑みれば、安定したポストを用意することで若手研究者に研究に打ち込む場を作りたいという山中教授の意見はもっともなものと言える。

 しかし、問題なのは常勤ポストに登用した場合の副作用である。このように非正規の教員が増えることになった原因のひとつが、教授というポストに安住して研究・教育に不熱心な教員を増殖させ、その高コストが大学経営を圧迫してきたことにあった。加えて、常勤ポストは無限ではないから、iPS細胞研究の部門で大量登用すれば、将来の採用枠を減らさざるを得なくなる。今「若手」を大量採用して入れ替わりがなけばそのまま高齢化していくことになるから、これまた研究組織の停滞化を招く懸念がある。更に、現在では最先端の研究でも、その後も最先端であり続けられるかどうかは分からない。今30歳とすれば、定年退職まで35年前後の職を保障することになろうが、35年後に同じ研究ができるとは理系の場合思わない方がよいのではないか。そうすると、大量の常勤ポスト採用に消極的になるのもまたもっともなことなのだ。

 ノーベル賞受賞の報奨金のように、研究費として一気に300億円が投じられるという。この研究費によって、常勤ポストが増やされることは確実であろう。非正規のままで最先端の研究者を据え置くことになれば、現実問題として待遇を餌に引き抜かれ情報やノウハウが流出するリスクもある。中国が90年代以降急速に軍拡を行うことができたのも、北朝鮮やイランがミサイルや核兵器を開発できたのも、ともに食うに困ったロシアの兵器技術者を引き抜くことができたことが大きい。

 先進諸国は新たな医療技術(イコール金のなる木ということでもある)につながることが期待されているiPS細胞技術の実用化のために競争を繰り広げている。アメリカや韓国などは、こうした分野に集中的に投資しようとしている。当然、好待遇での引き抜きというのは戦術として用意されているであろう。

 「国益」を考えてみたところで、食うに困る状態を放置して見返りを与えない祖国と、厚い待遇を与えてくれる外国を選択するとなれば、祖国を選ぶのは簡単ではない。そうでなくとも、理系の研究者はフオン・ブラウンを持ち出すまでもなく、生活を保障し自分の研究を全うさせてくれるのなら雇い先は問わないという傾向が文系に比べて強い。国益などを持ち出さなくとも、打算的な見方をしても、iPS分野での常勤採用は進むに違いない。しかし、それだけで我が国の研究者を取り巻く問題が解決するわけではない。

2012年10月 9日 (火)

祝・ノーベル賞

 京都大学の山中教授にノーベル医学賞が贈られることが決まった。iPS細胞について、世界的な研究をしている方だけに、受賞は時間の問題と言われていたものだが、これだけ早い受賞はこの分野での更なる研究が期待されての事であろう。

 iPS細胞は「実用化」されているとうわけではないから、これからが本当の仕事ということになる。山中教授は会見で国の支援に感謝されていたが、同時に支援はこれからも必要だ。今後の研究を支える若手研究者養成など、課題は決して少なくない。

 日本国民としても受賞を喜ぶだけでなく、大学という研究機関に対する国の支援について広い視野で考えることが必要であろう。多くの研究がある中で、光が当たる分野というのは成功する中でも更に一握りだ。大学の人件費が圧縮傾向にあることは良いことではない。

2012年10月 7日 (日)

「八重の桜」グッズ

 関西国際産業関係研究所の月例研究会で、大阪大学大学院の小嶌典明教授が労働者派遣法の改正について発表されるとのことで、久しぶりに同志社大学を訪れた。同志社大学は至る所工事中で、特に中学校移転跡の敷地には巨大な建物が姿を現しつつあり、キャンパスの景観は伝統的なレンガ色を基調としつつも大きく変わりつつある。

 来年の大河ドラマは創立者新島襄の妻である新島八重が主人公とのことで、早くも売店には「八重の桜」グッズが並んでいた。今のところはクリアファイルにキャラクターのイラスト入りのものだけだが、今後増やしていくらしい。

 大学がより美しく、快適になり、ドラマ等を通じて知名度が上がるのは結構なことだが、やはり大学というところは第一には学問の府でなければならない。外部の人の来るイベントは結構だが、やはり知的刺激を受けられる研究会や講演会こそが大学の行うべきイベントではなかろうか。

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