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2012年8月19日 - 2012年8月25日

2012年8月25日 (土)

金正日の料理人

 金正日の料理人であった藤本健治氏が金正恩総書記の招きに応じて平壌を訪問し、無事に帰ってきたことが話題となっている。公開された写真はいささか不自然なところがないわけではないが、謎の多い金正恩にあそこまで近づけたというのは、やはり幼少の金正恩に身近に接していた人物であったからだろう。

 一時は北朝鮮に渡航したまま生きて帰れないのではないかと言われていたが、さすがにそれはあり得ない。あれだけ知名度のある人物を拘束してしまったら、いくら「本人がもう日本に帰りたくないと言っている」というお決まりの文句で糊塗したとしても、誤魔化すことはできまい。むしろ、歓迎して返してやった方が北朝鮮指導部のイメージアップにつながる。この点では、金正恩の企みは成功していると言えるだろう。

 同時に、金正恩は西側で生活した経験もあるから、明らかに「メディア」の立ち位置をよく知っている。メディアか帰国した藤本氏を大々的に取り上げるであろうことも計算済みであったと思われる。そこで、自分の若妻を表に出したのではないか。「夫婦同伴」は西側諸国では普通に見られるが、北朝鮮では金正日が誰と結婚しているのか最後まで明らかにされることはなかった。十年ほど前の北朝鮮関係の書籍にも、「正男」は確認されていても「正恩」は記されていない。

 いずれにせよ、金正恩総書記と言う人物が君主の「威」や「恩」と言った古典的な手法の他に、メディアも意識した戦術を取っていることは確かである。90年代初頭には「バカ息子」と言われた金正日ですら独裁者として死んだのだから、正恩体制も意外に長くのではないかとの懸念は誰もが抱いているのではないか。

 金正恩が国内統制に成功しているとすれば、まだ若いことだしかなりの時間が与えられたことになる。そして、金正恩は西側を知っている。難しいこととは思うが、金正恩が見習うべきは父でも祖父でもなく台湾の蒋経国総統であろう。

2012年8月23日 (木)

最低賃金と生活保護の「逆転現象」を存続させるな

 最低賃金と生活保護の「逆転現象」は改善されたものの、未だに東京、神奈川、大阪等6都道府県で続いている。最低賃金の引き上げで賃金支払いが苦しくなると言う使用者側の強硬な反対があり、抜本的な改革が見送られた。

 「飢え死にしなければ満足すべき」という理屈の元で生活保護の引き下げを求める意見もあるが、それでは我が国は先進国としての地位を返上せねばなるまい。一方で、この逆転現象では就労意欲が阻害されるのみならず、働いている者がバカを見ることになる。生活保護を出すのは自治体でも、財源は税金だ。最低賃金で働いている者は、自分より裕福な生活をしている者の面倒まで見ているということになる。これでは公正とは言えない。

 最低賃金の引き上げに反対する意見に全く理がないわけではないが、低いままに留めているということは、一種のダンピングを許容していると言う事になる。特に首都たる東京や近隣の神奈川でダンピングを許容すると言う事は、賃金支払いで地方の方がむしろ苦境に立たされて不利になるということになる。これでは、低賃金で人を使い捨てにできる東京一極集中はますます進むことになるのではないか。

 最低賃金で保障されているのは死なない程度のカロリーを摂取できるということくらいであって、言うまでもなくこの賃金で「人たるに値する生活」を送るのは難しい。最低賃金を引き上げたとしても、富裕層に対する減税策のように貯蓄や海外送金に回るものではない。専ら、その地域での消費にまわることになる。

 労働者に対する配分が減り続けた結果、我が国の経済は停滞の一途を辿ってきた。自民党政権時代はもとより、民主党政権に至っても改善されることはなかった。内需は落ち込む一方だ。その起爆剤として、最低賃金の引き上げは有効な策である。

 「企業が大事」という理屈に立ち続ける限り、労働者の搾取は許容されることになるし、その延長線上では社会保険制度や労働保護法制の廃止・解体すら正当化できる事になる。実際、小泉政権やみんなの党に群がっている識者や財界人の中にはそうした思想の持ち主も多い。しかし、企業と言えども搾取対象の労働者を食いつぶしてしまえば、あとは滅びるよりほかはない。今回、使用者側の一方的な理屈に屈して改革ができなかったのは残念だ。

2012年8月21日 (火)

シャープの経営合理化

 業績不振のシャープが経営合理化策を発表した。5000人を削減するとともに、国内外の大胆に工場を閉鎖・譲渡する。これにより、あの「世界の亀山モデル」を生み出した亀山工場もシャープの手を離れることになる。当然、閉鎖も考えられる。

 大企業を誘致すれば地元に雇用が生まれると言う幻想の元、多くの自治体が企業誘致に血道を挙げ、今も奔走している。しかし、それで地元の望む結果が出たと言う話は聞いたことがない。地域の期待する「雇用」は、漠然としているとしても正規雇用であることは疑いない。しかし、実際に企業進出で大規模な正規雇用が突如として発生することはあり得ない。

 そもそも、企業側としては税金が安く、低コストの労働者を雇え、インフラを整備してもらえることが期待できるから進出するのである。つまり、リスクもコストも高い正規労働者を雇うわけがない。そもそも、地元にいる人は単なる「地元民」であり、労働能力が保障されているわけではない。これで正規雇用で雇用する等と言う事をすれば、その経営者は無能の誹りを免れないであろう。

 亀山市においても、確かにシャープは進出してきた。しかし、税制上の優遇措置を取っていたため税収は増えず、むしろインフラ整備で投資を余儀なくされる。地元の雇用も増えなかった。管理部門など正規労働者としての役職に就く者は、転勤でやってきたからである。地元民がありつけたのは期間工や派遣と言った非正規の職でしかなかった。それも、企業の息のかかった派遣会社等が連れてくる外国人を含む外部の非正規労働者との価格競争に晒される。こぼれ落ちた人々は失業者や生活保護受給者となり、その負担は地域に重くのしかかってくる。

 そして、テレビ部門における激烈な国際競争の結果、シャープを含む日本勢は敗退した。一時は「世界の亀山モデル」と言われたものだが、シャープとして工場を維持する理由はないのであろう。正規労働者はそれでも転勤等で雇用を確保するよう会社も努力するが、非正規については契約が切れれば終わりだ。

 大企業誘致は田舎に行くほど声が大きいように思われるが、彼らが企業誘致後の地域の姿をバラ色にしか考えていないとすれば能天気と言うしかない。企業城下町となりすそ野も広がり末長く栄えるなどと言う事は、最早夢物語だ。これからの地域振興は、労働制度の知識なしでは将来は見通せないが、この分野に精通した人材は決して多くない。

 残念ながら、名古屋市のり河村市長や大阪市の橋下市長など、大企業誘致を進めてトリクルダウン効果によって地域振興を謀る勢力はまだまだ健在だ。地域の住民をことごとく非正規の使い捨て労働者にするならばそれもまた宜しかろうが、そんなことを地域社会が受け入れるとは思えない。分かっていて推進しているならば、これはもう万死に値する。

 シャープの経営合理化は、他の企業や分野においても「他人事」ではないと言える。特に、震災後の復興名目での優遇を目当てに東北にやってくる企業には、注意しなければならないのではないか。

2012年8月19日 (日)

「中京維新の会」?

 愛知県の大村知事が「中京維新の会」を立ち上げると言う報道があった。大村知事は否定しているようだが、「大阪維新の会」を意識したものであることは確実で、いささか「維新」のインフレという感がある。

 一足飛びに経済状況が好転するわけはないのだが、この10年余りの日本国民は甘い言葉に飛びついては騙されるというパターンを繰り返してきた。「民営化」も「政権交代」も、国民に激痛を与え続けてきたのみならず日本そのもののクオリティを落とし続けているのだが、にもかかわらずその路線を更に推し進めることを公言している橋下市長に熱烈に支持を送る国民が少なくない。是非はともかくそれが事実なのだから、勝つために民主党も自民党も橋下大阪市長に近づくのに懸命である。

 もともと、大村知事も名古屋市の河村市長も橋下市長には近い思想・手法の持ち主であり、道州制云々では連携していたし、支持する人もおおむね似たような思考パターンであることが多い。としても、橋下市長の方が国民へのPR能力と言う点では抜きんでており、これに便乗したいと言う気持ちになるのも「勝つこと」を考えればわからなくはない。政策的にも近いから、節操がないと言い切ることもできない。しかし、どうしても「安直」の感は免れない。

 それにしても、大村知事は「日本一愛知の会」という地域政党を既に率いているわけだが、そちらはどうするつもりなのだろうか。

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