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2012年3月25日 - 2012年3月31日

2012年3月31日 (土)

弾道ミサイル防衛措置に部隊配備先自治体の同意は必要か

 増税論議、地方主権(日本解体?)など日本政治が混迷を極める一方でも国際情勢は動いている。我が国はグローバルと言いながら、国内の権力闘争が優先されて国際情勢に目を向ける余裕が失われつつあるようだ。それでも、イージス艦を展開させるとともに、首都圏及び沖縄にPAC3部隊を配備することを命じている。

 PAC3はイージス艦で迎撃できなかった弾道ミサイルを撃ち落とす地上部隊で、言わば「最後の砦」である。湾岸戦争の際にイラクがスカッドやアル・フセインをイスラエルに撃ちこんだ際、イスラエルが迎撃に用いたのがPAC3の前のモデルであるPAC2であった。確かに迎撃には成功したのだが、撃ち落とせずにイスラエル国内に落下したものも多く、時のイスラエル首相が「イスラエルがこのまま黙ってイラクのやりたい放題を容認し続けるとは思うな(=パトリオットで迎撃できないならば、イスラエルは湾岸戦争に賛成してイラクのミサイル基地を空爆するぞ。それが嫌ならアメリカがミサイル基地を叩け)」という趣旨の電話をアメリカ大統領にかけたエピソードがある。それでも、「ないよりまし」であることだけは確かだし、現在展開しているPAC3は湾岸戦争の頃に比べればかなり進歩している。はっきりしているのは、配備しなければ弾道ミサイルを阻止できる可能性は絶対にないと言う事だ。

 大阪市の橋下市長が「大阪に配備されないのはおかしい」と主張しているが、この主張は「自分の地域を特別扱いしろ」と言っているのと同義で、国政に出てからこの方がやろうとしていることが今から垣間見えてしまうのは他地域の人間としてはいささか恐ろしい。一方で沖縄県の仲井間知事は「PAC3部隊を配備するなら地元に説明しろ」と述べている。沖縄はともすれば軍事アレルギーが出やすい土地柄だが、地元自治体や市民団体が「同意しない」ことを理由として部隊展開しなければどうなるか。沖縄県民が文字通り「地獄の火の中に投げ込まれる」ことを政府は座視しなければならなくなるかも知れない。今回はとりあえず配備先の自治体に対して田中防衛大臣が説明して了承を得られたが、異論が出たら防衛大臣はどうするつもりだったのだろうか。

 そもそも、弾道ミサイル防衛措置に地元自治体の同意は原則的に必要ないと考えるべきだ。本来ならば地方政治も国際情勢に左右されることが珍しくない時代である以上地方政治家といえども国際情勢に対する判断力があってしかるべきところだが、地方の有権者はそんなことを望んでいない。望んでいたとしても、どぶ板活動に劣後する価値しか認めていない。配備と引き換えに補助金等の条件闘争の手段にされる可能性も高い。かかる現状では、地元自治体の同意など得ようとするだけ時間の無駄であるし、そうした手続きの瑕疵を狙う国もあるだろう。情報漏洩の懸念も高まる。撃ち落とされる心配のない地域を狙うのは加害国としては当り前であろう。

 無論、私有地を勝手に接収して配備するとか、地元住民を勝手に使役するというような真似は許されないが、弾道ミサイル防衛のための部隊配備に関しては、政府側の裁量権を広く認めるべきだ。配備自治体の同意は不要と解すべきである。

2012年3月29日 (木)

看護師試験問題にルビ

 小宮山厚生労働大臣は外国人が看護師試験に合格しやすくするため、来年度の試験問題から問題文の漢字にルビを振るなどの対策を取ることを明らかにした。さすがに母国語での受験を認めるには至っていないが、それでもかなりの優遇措置である。日本語の読み書きに不安がある看護師で、本当に大丈夫なのか。

 それにしても、日本人看護師に対する対応とは何と言う違いであろう。日本人看護師は不足しているわけではない。有資格者が他国に流れているわけでもなければ、看護師となる希望者が少ないわけでもない。キャリア・システムが整備されていないため「資格」ならぬ「死資」と化している例が多いのだ。その割合は看護師と准看護師を併せると五割近くに及ぶのである。

 まず、日本人看護師の活用にこそ目を向けるべきではないか。ついでに言えば、人材養成や昇進昇級の制度を整備しないままで日本人看護師の穴を外国人看護師で埋めたところで、行き着く先は離職である。

 今や小手先の対応はあらゆる分野に及んでいるが、こうしたツケはいずれそうした為政者を選択した国民自身が払う事になるのではないか。

2012年3月27日 (火)

フリーターを増やすことも辞さない野田総理

 野田総理は学生に対して、公務員採用を大幅に減らすことについて理解するよう求め、アルバイトやインターンシップをするように勧めた。全く、無責任極まりない話だ。安倍内閣の頃に「負け組」を「待ち組」に言い変えようとしていたのと大差ない。

 日本では昔も今も、新卒の段階が一番市場価値が高い。この段階で学生からアルバイトに移行したり、インターンシップなど就職しない「夢追い」を選択した場合非常にリスクが高いのは90年代以降の若者が陥った泥沼で証明されている。この「夢追い」には芸術家など従前の「夢を追う若者」以外にも、司法試験をはじめとする資格試験や大学院へ進学しての研究者志望者も含まれる。夢から覚めた時、多くの者に残っているのは奨学金と言う名の返すあてのない借金と喪われた若さだけだ。これでは、公務員を目指すことも「夢追い」になりかねない。公務員の枠が空いたらアルバイトをしつつ待機していた者を優先的に採用するわけでもなかろうから、「飛ばされる」世代には永遠にチャンスはないことになる。

 公務員を削減したところで民間の正規雇用が増えるわけではない。増えているのは非正規雇用だ。国が率先して正規雇用の枠を減らして平然としていれば、民間とて尚更非正規雇用として使い捨てることに良心の呵責は感じなくなる。野田総理はご自身が松下政経塾卒塾後はフリーターをしながら政治家を目指していたから問題ではないと思っているのかもしれないが、政治家を目指して成功できる者などほんの一握りだ。自身の例外的とも言える「成功体験」を若者に押し付けられては迷惑極まりない。野田総理はフリーターを増やすことも辞さず、非正規雇用は問題でもないと考えているのではないか。

2012年3月25日 (日)

「TPPはビートルズ」という意味不明な理屈

 野田総理が「TPPはビートルズ。アメリカがション・レノンなら日本はポール・マッカートニー」という意味不明な例えをした。もし、本当にTPPをそのようなものだと考えているのだとしたら、まことに恐ろしい事である。

 TPPは簡単に言えば「アメリカのアメリカによるアメリカのためのルール」が参加国共通の貿易ルールにされるという条約だ。過去も現在も、覇権国がルールを作る場合、ほぼ間違いなく自国に有利なルールを作る。そして、従属している国が不利益を受けることになる。それでも従属する理由は軍事力で脅されているか、従属する別のメリットがあるかのどちらかだ。日本の場合、別段アメリカに軍事力で脅されているわけではないから、後者の理由になるだろう。

 TPPが無秩序な市場競争に歯止めをかける組織ならば、「調和」という点からビートルズにもなるだろう。しかし、実際のTPPはそのような意図で制度設計されていない。アメリカが日本を「食う」という意図で進められている。TPPによってアメリカで雇用を生み出すと言う事は、日本で減らすと言う事だ。パイが拡大しているわけではないし、労働者への配分は一貫して減少傾向にあるからである。これは「調和」ではなく闘争を拡大するものだ。音楽グループとはむしろ正反対とさえ言える。

 たしかに、東アジアの安定のため、安全保障上で日米は調和して行く必要がある。しかし、我が国の経済はもとより社会システムまでアメリカにあわせる必要性そのものがない。中国の脅威が増す中で安全保障上アメリカのいいなりになるしかないというのは一面では真理であるが、アメリカの属国になる方が中国の属国になるよりマシだというのはあまりにも極論だ。

 今まで「自由競争」「市場主義」が正しく、政府など公共の介入するものは「社会主義」であるという宣伝がされてきた。しかし、それが推進されて二十年近くになるが、これが多数の国民を幸せにしたのか。日本を強国にしたのか。むしろ逆である。中間所得者層は下層階級に転落し、雇用の不安定化は長期的な視野に立った人材を養成する力を組織から奪い、日本全体がその場限りの評価を求めた対応をするようになってしまった。これでは日本製品にリコールが多発し信用を失っていくのは当たり前だ。そろそろ、スローガンを疑う事が日本国民にとって必要ではないか。

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