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2012年8月21日 (火)

シャープの経営合理化

 業績不振のシャープが経営合理化策を発表した。5000人を削減するとともに、国内外の大胆に工場を閉鎖・譲渡する。これにより、あの「世界の亀山モデル」を生み出した亀山工場もシャープの手を離れることになる。当然、閉鎖も考えられる。

 大企業を誘致すれば地元に雇用が生まれると言う幻想の元、多くの自治体が企業誘致に血道を挙げ、今も奔走している。しかし、それで地元の望む結果が出たと言う話は聞いたことがない。地域の期待する「雇用」は、漠然としているとしても正規雇用であることは疑いない。しかし、実際に企業進出で大規模な正規雇用が突如として発生することはあり得ない。

 そもそも、企業側としては税金が安く、低コストの労働者を雇え、インフラを整備してもらえることが期待できるから進出するのである。つまり、リスクもコストも高い正規労働者を雇うわけがない。そもそも、地元にいる人は単なる「地元民」であり、労働能力が保障されているわけではない。これで正規雇用で雇用する等と言う事をすれば、その経営者は無能の誹りを免れないであろう。

 亀山市においても、確かにシャープは進出してきた。しかし、税制上の優遇措置を取っていたため税収は増えず、むしろインフラ整備で投資を余儀なくされる。地元の雇用も増えなかった。管理部門など正規労働者としての役職に就く者は、転勤でやってきたからである。地元民がありつけたのは期間工や派遣と言った非正規の職でしかなかった。それも、企業の息のかかった派遣会社等が連れてくる外国人を含む外部の非正規労働者との価格競争に晒される。こぼれ落ちた人々は失業者や生活保護受給者となり、その負担は地域に重くのしかかってくる。

 そして、テレビ部門における激烈な国際競争の結果、シャープを含む日本勢は敗退した。一時は「世界の亀山モデル」と言われたものだが、シャープとして工場を維持する理由はないのであろう。正規労働者はそれでも転勤等で雇用を確保するよう会社も努力するが、非正規については契約が切れれば終わりだ。

 大企業誘致は田舎に行くほど声が大きいように思われるが、彼らが企業誘致後の地域の姿をバラ色にしか考えていないとすれば能天気と言うしかない。企業城下町となりすそ野も広がり末長く栄えるなどと言う事は、最早夢物語だ。これからの地域振興は、労働制度の知識なしでは将来は見通せないが、この分野に精通した人材は決して多くない。

 残念ながら、名古屋市のり河村市長や大阪市の橋下市長など、大企業誘致を進めてトリクルダウン効果によって地域振興を謀る勢力はまだまだ健在だ。地域の住民をことごとく非正規の使い捨て労働者にするならばそれもまた宜しかろうが、そんなことを地域社会が受け入れるとは思えない。分かっていて推進しているならば、これはもう万死に値する。

 シャープの経営合理化は、他の企業や分野においても「他人事」ではないと言える。特に、震災後の復興名目での優遇を目当てに東北にやってくる企業には、注意しなければならないのではないか。

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