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2012年8月23日 (木)

最低賃金と生活保護の「逆転現象」を存続させるな

 最低賃金と生活保護の「逆転現象」は改善されたものの、未だに東京、神奈川、大阪等6都道府県で続いている。最低賃金の引き上げで賃金支払いが苦しくなると言う使用者側の強硬な反対があり、抜本的な改革が見送られた。

 「飢え死にしなければ満足すべき」という理屈の元で生活保護の引き下げを求める意見もあるが、それでは我が国は先進国としての地位を返上せねばなるまい。一方で、この逆転現象では就労意欲が阻害されるのみならず、働いている者がバカを見ることになる。生活保護を出すのは自治体でも、財源は税金だ。最低賃金で働いている者は、自分より裕福な生活をしている者の面倒まで見ているということになる。これでは公正とは言えない。

 最低賃金の引き上げに反対する意見に全く理がないわけではないが、低いままに留めているということは、一種のダンピングを許容していると言う事になる。特に首都たる東京や近隣の神奈川でダンピングを許容すると言う事は、賃金支払いで地方の方がむしろ苦境に立たされて不利になるということになる。これでは、低賃金で人を使い捨てにできる東京一極集中はますます進むことになるのではないか。

 最低賃金で保障されているのは死なない程度のカロリーを摂取できるということくらいであって、言うまでもなくこの賃金で「人たるに値する生活」を送るのは難しい。最低賃金を引き上げたとしても、富裕層に対する減税策のように貯蓄や海外送金に回るものではない。専ら、その地域での消費にまわることになる。

 労働者に対する配分が減り続けた結果、我が国の経済は停滞の一途を辿ってきた。自民党政権時代はもとより、民主党政権に至っても改善されることはなかった。内需は落ち込む一方だ。その起爆剤として、最低賃金の引き上げは有効な策である。

 「企業が大事」という理屈に立ち続ける限り、労働者の搾取は許容されることになるし、その延長線上では社会保険制度や労働保護法制の廃止・解体すら正当化できる事になる。実際、小泉政権やみんなの党に群がっている識者や財界人の中にはそうした思想の持ち主も多い。しかし、企業と言えども搾取対象の労働者を食いつぶしてしまえば、あとは滅びるよりほかはない。今回、使用者側の一方的な理屈に屈して改革ができなかったのは残念だ。

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