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2012年8月 1日 (水)

中印軍拡競争

 ロンドンオリンピックであまり大きなニュースにはなっていないが、中印の空母がともに試験を進めている。中国の空母は9回目の試験航行を終えて基地のある大連に戻り、インドの空母は発着艦試験を成功させた。どちらも、実戦配備に向けて着実に歩んでいると言える。

 実は、中印の空母は兄弟のような関係にある。インドの空母は旧ソ連のキエフ級空母の4番艦を購入して改造したもの、中国の空母も旧ソ連のクズネツフ級空母の2番艦をスクラップにすると偽って購入し、中国まで運んで復旧工事をしたものだ。もともとの航空機の運用能力は新しい分だけ中国のもののほうが高そうだが、インドはロシアのノウハウを取り入れてエンジンや航空機の運用設備を整備できたのに対して、中国は未完成の艦をスクラップにすると偽って中国まで曳航し、意図的に壊されていた機関などを修復しなければならなかった。航空機の運用設備についてもノウハウはないから、手さぐりと考えられる。そうなると、恐らくはインドの空母の方が今のところ戦闘能力は高いのではないかと考えられる。

 いずれの空母もアメリカの空母に比べれば取るに足らない能力でしかないが、その他の国が空母を持たない中では、頭一つ飛び抜けた戦力を持つことになる。少なくとも、空母の展開した海域に睨みを利かせるには十分だろう。中国が一隻と言えども空母を押し出してきた場合、日本としては航空自衛隊の笠の外ではアメリカの介入をますます期待しなければならなくなる。

 中国もインドも、ロシア艦改造空母の次には国産空母が控えている。中国の空母もインドの空母も資料によれば1980年代から「登場する」と言われ続けてきたが、三十年余経ってようやく造船所にその姿が見えてきたところだから、実戦配備まではまだまだ道のりは長そうだ。しかし、登場すれば周辺諸国としては力関係が大きく崩れることになるから無視するわけにはいかない。

 対抗して空母保有を行わないという選択をした場合、日本としては、アメリカの介入や、かつてのソ連が軍拡で自滅したように、中国やインドが経済的に行き詰まり、空母建造・保有を放棄してくれることを期待するくらいしか手がないと言う事になる。中印ともに経済は好調と言える一方、アメリカは極東重視とは言ったところで介入してくれるかどうか難しいところがある。19世紀ほどではないにせよ、アメリカには伝統的な孤立主義思想があるし、介入するとしても自国の国益が最優先される。ますます、我が国の周辺のパワーバランスを保つのは難しいことになりそうだ。

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