カダフィ大佐が死亡
独裁政権が崩壊したリビアで、出身地近くまで逃走して最後の抵抗を続けていた元独裁者のカダフィ大佐が国民評議会に追い詰められ死亡したと言う報道がありました。「アラブの春」と呼ばれる一連の革命において、リビアではカダフィ大佐が当初から強硬姿勢で、国際法で禁止されている傭兵を使って自国民を殺害し、反政府勢力を空爆するなどの残虐行為が行われてきました。ニュースでは、大佐の死亡に歓喜するリビア国民の様子が映し出されています。
カダフィ大佐の遺体はモスクに安置されていると言う報道もあり、これが事実だとすれば大佐は既に死亡しておりその後はそれなりの取り扱いをされているということになりますが、そもそも本当に死亡しているのか現時点ではよくわからないところがあります。死亡の状況についても、銃撃戦で殺害されたという報道もあれば、生きたまま拘束後国民評議会によって銃殺されたという報道もあります。詳細はまだ分かりません。大佐はムスリムですから、少なくとも生きて虜囚の辱めを受けないため自決するようなことはなかったことだけは確かであると思われます。
暫定政権である国民評議会は、カダフィ大佐を拘束して裁判を行う予定でした。その裁判が本当に「報復」でないものになったかと言われると極めて怪しいものがありますが、少なくとも独裁政権の悪事の一端は解明できたかもしれません。しかし、これで多くの謎が闇に消えた事になります。
一方で、拘束後射殺したとかなぶり殺しにしたということになると、革命勢力の手は早くも血まみれになったということになります。適正な手続きなしに人殺しをしてきた独裁者と同じことをしているのであれば、独裁者と何処が違うのかと言う事になる。かつて、カダフィ大佐も「革命派」として登場してきただけに、今の革命派が独裁政権となり、同じ事になるのではないかという危惧が頭から離れません。独裁政権を倒すからこそ、少なくとも政権掌握後はクリーンハンズでなければならないのではないでしょうか。