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2011年9月25日 - 2011年10月1日

2011年10月 1日 (土)

アラブの春の行く末は・・・

 チュニジア、エジプト、リビアでかつて「革命派」を名乗った独裁政権が民衆によって打倒されました。「アラブの春」と呼ばれている革命ですが、今まで独裁政権や封建王朝の支配するところであった中東・イスラーム諸国での民主化を要求する流れが加速しています。

 しかし、その流れがただちに民主的な政権樹立に繋がっているかと言うと、必ずしもそうとは言えません。首都のトリポリが陥落してもリビアでは内戦が続いていますし、エジプトではなかなか新憲法制定と民政移管の手続きが進みません。このような政情ですから、経済不安もまた革命前と同じく解消されていないか、むしろ深刻化しています。もともと、生活に苦しむ人々が富を独占する独裁者に対して起こした革命でしたから、その「分け前」を求めているわけで、とりわけ経済状態が改善されなければ人々の期待はただちに失望に変わることは簡単に想像できる事です。

 独裁政権が崩壊しても混乱が続く中、エジプトなどではイスラム原理主義勢力が力を伸ばしています。もともと、イスラム原理主義勢力は単なる宗教団体ではなく、その内部に統治機構から司法機関、教育福祉機関までの機能を含んだものですから、貧困層に対してPRする力は非常に強いのです。食えない人々に食を与え、教育を受けられない人々にはイスラームの範囲内で教育を受ける機会を与えている。一見すると福祉をばら撒いて人気取りを謀っているような構図ですが、生きていけない人々にとってはまさしく「地上におけるアッラーの代理人」というところでしょう。無秩序に代わり、シャーリアと呼ばれるイスラム法が一定の秩序をもたらすことも看過できない点です。婚外性交は死刑、同性愛者も死刑、窃盗犯の手を切り落とすなど、西欧近代法から見れば色々と問題点の多いシャーリアですが、無責任な悪人がやりたい放題を続ける少なくとも無秩序状態が続くよりはマシと考えることもできます。

 かつて、アメリカやイギリスの「傀儡政権」を打倒したエジプトやリビアの「革命勢力」が独裁政権を作りあげ、かつての「傀儡政権」と同じような統治を行うようになってしまったのと同じく、今回の「アラブの春」も、その後にイスラム原理主義勢力が実権を握り、イスラムの名の元に独裁体制を作ってしまっては元も子もありません。

 アラブ諸国に自由と民主が根付くのか、道のりはかなり険しいと考えるべきです。憲法で民主主義を謳い上げた日本ですら、未だに地方政界では封建的な人間関係が重んじられ、有権者もそうした票集めを左程疑問に思わず、「地元の名士」が力を持ち、老人を集めて「パンとサーカス」を与え票につなげているという噂が絶えない。中国語で言うところの「土豪劣紳・貪官汚吏」は決して無縁ではないのです。まして、アラブ諸国では日本とは比較にならないほど「部族の長老」の力は強く、普通教育のレベルも高等教育のレベルも比較にならないほど低い。大衆が都合よく動かされて衆愚政治に陥るか、選挙制度はともかく実態が部族同士の抗争になってしまう危険性は多分にあります。実際、アフガニスタンやパキスタンでは、長年の戦争によって中央政府の実効統治の及ばない地域が広がってしまい、そこでは各部族が「部族の理屈」でやりたい放題を行っています。

 「アラブの春」を後押ししたのは欧米諸国で、実際にアメリカやフランスはカダフィ勢力の陣地を攻撃するなどして実力行使にも出ています。しかし、その後に登場するべき新政権については「民主主義」を要求してはいるものの、民主主義の土壌となる一般市民の生活水準や教育程度の向上まで考えているかと言うと怪しいものがあります。先進国によるアラブ諸国の支援は、独裁政権を倒すまでで終わるのではなく、むしろこれからが重要と言えるのではないでしょうか。

2011年9月30日 (金)

中国ジョーク

 中国とラディッシュの共通点は?

 外側は赤いが中身は白い。

2011年9月29日 (木)

被災地における失業給付の支給期間再延長について

 厚生労働省は被災地おける失業給付について、120日延長していたものを更に90日延長することを表明しました。ただし、被災地以外での求職活動が条件となるようです。

 もともと、東北地方は景気の悪い地域でした。小泉政権の時代、労働規制緩和の構造改革を推進していた国際基督教大学の八代教授などからは「仕事がなければ東京か名古屋に行けばいい」と言い放たれていた。そこに、今回の大震災です。当面の復旧に必要な業種や、復興に必要な特殊技能の持ち主ならばともかく、そうではない労働者が職を失えば、再就職が簡単ではないことは容易に想像できます。

 失業等給付、所謂「失業保険」(この呼称は既に正式なものではない)は一般的な失業者であれば90日間分です。それを、120日まで延長しても、なお職に就けない人が4万人以上いるわけです。恐らく、多くの人々が地元で職を探していたものと思われますが、もともと経済の悪いところに震災が来ているわけですから、そこで職を求めると言うのもおのずから限界があるわけです。

 給付期間の再延長と言う異例の措置が取られる背景には、被災地での就職にこだわる者が多かったことがあったのではないかと思われます。「地域の絆」があるということは、裏返しとして就職先として地域に拘っている人が多いであろうことを意味します。しかしながら、経済状況や復興の現状に鑑みれば、被災地での就職にこだわり続ける限り失業期間は長引くでしょう。そして、残念ながら需要がない。失業期間が際限なく長期化し、そのために給付を延長し続けなければならないとなると、雇用保険財政が行き詰まるのは目に見えています。そこまでの負担を保険者や他の雇用保険被保険者や使用者に負わせるのは酷と言うしかありません。

 今回の大震災では「地域の絆」が注目されています。しかし、この「地域の絆」なるものは人と人との助け合いという好ましい面がある一方、特定の地域や人間関係に拘束されて行動の自由を制約され(或いは自覚しないままで制約してしまい)経済的破綻を招きかねない危険性をも内包するものです。

 郷土愛は尊重されてしかるべきものだと私自身は思っていますが、全てにおいて優先せよというのは明らかに無理があります。失業しても外での再就職を求めずに、被災地で消防団や自治会などの奉仕活動をしている人も少なくないようですが、このような犠牲的精神に頼るようなことでは、遠からず破綻が来るでしょう。東北地方には高齢者ばかりで若者の少ない地域も多いのですが、少ない若者が高齢者のために過度な負担をするということは、その若者たちの将来の道を閉ざすことになります。地縁や義理のために将来を捨てて地域活動をしているというのは、これは最早悲劇です。

 今回の国の措置により被災地外での就業が推進される結果、従前よりは就職先を確保できる可能性は高くなります。一方で、二度と地元に戻ってくることのできない労働者がかなりの数にのぼることでしょう。本来ならば、復興は被災地において雇用を生み出してこそ復興と言える筈です。しかしながら、雇用を生み出すためには時間がかかります。現在の自由主義経済下では、被災地に強制的に企業を留めたり移転させたりすることはできませんから、政府や自治体が雇用対策を行うにせよ、労働需要が生まれてくるためにはどうしても時間がかかる。それは、失業等給付でカバーされる期間では到底不可能です。個々の労働者が職業を持って賃金を得、生活して行かなければならないという事実に思いを致す時、被災地以外の地域での求職を条件とするのは、この際やむを得ない措置と言えましょう。

2011年9月27日 (火)

陸山会政治資金収支報告書虚偽記載事件

 小沢一郎被告の後援会である陸山会の政治資金収支報告書虚偽記載事件において、起訴された小沢被告の元秘書三名に対して、東京地方裁判所はいずれも有罪の判決を言い渡しました。恐らく、被告人側の控訴があるでしょうから有罪確定というわけではありませんし、事実認定の方法に法律家の間から疑問の声も出ていることからして、これだけでただちに小沢被告をも無責任な悪人であると言い切ることは早計であると言えます。

 むしろ、与野党ともに問題であると思うのは、かつての自民党と民主党の立場が入れ替わってしまったことです。両党とも、かつての自説をすっかりお忘れのようで。

 従来、汚職というものは長年与党であったこともあって自民党の専売特許のようなところがありました(無論、リクルート事件や秘書給与ピンハネ事件などで野党の議員が罪に問われたケースもまま見受けられますが)。その際、決まって野党であった民主党は「証人喚問しろ」「議員辞職しろ」「議員辞職勧告決議案を出せ」と主張し、自民党は「司法による手続きを曲げるおそれがあるので証人喚問は好ましくない」「政治家の進退は最終的には自分で決めるものだから、議員辞職を促すのは好ましくない」と言い続けていたものです。

 ところが、今回の陸山会事件では自民党が「小沢元代表の証人喚問を」「石川議員の議員辞職を」と求めているの対して、民主党がかつての自民党と同じ発言で逃げています。政権交代で攻守が変わったとは言え、両党とも余りにもご都合主義的であると感じているのは私だけではないのではないでしょうか。

2011年9月25日 (日)

双頭の(片方はハゲ)鷲の元に

               ファイル:Coat of Arms of the Russian Federation.svg

                    ロシアの国章「双頭の鷲」

 ロシアの国章は「双頭の鷲」と呼ばれています。この国章はロシア帝国から、ロシア帝国にキリスト教を伝えた東ローマ帝国、更にはローマ帝国にまで遡る由緒あるもので、同じローマ帝国の継承者を主張する神聖ローマ帝国からオーストリア帝国を経て、現在のオーストリア共和国にも鷲の国章が受け継がれています(ただし、国力の衰退を反映してか、オーストリアの国章の鷲はいつの間にか二つあった頭が一つだけになってしまいましたが)。

 ロシアのメドベージェフ大統領が、来年3月の大統領選挙においてプーチン首相を推薦したいと表明しました。これを受けてプーチン首相は大統領当選後にはメドベージェフ大統領を首相に任命したいとの意向を表明しました。ロシアでは与党が圧倒的優位の情勢であり、先の大統領選挙と同じく実質的には与党候補への信任投票になるものと思われます。

 憲法の三選禁止の規定により大統領職を退いて首相に就任したプーチン大統領と、就任当初から傀儡視されていたメドベージェフ大統領はロシアの国章である「双頭の鷲」にちなんで「双頭体制」と呼ばれる一方、両者の権力闘争もささやかれてきました。この権力闘争に利用されたのが我が国の北方領土であり、北方領土を自国領と主張するパフォーマンスを繰り返すことで、愛国心に訴え、「強いロシア」をPRすることで有権者からの支持を取り付けようという意図が露骨に見えるものでした。

 「双頭体制」とは言いながら、最高権力者は言うまでもなくプーチン首相でした。もともと、ロシアの制度では大統領が強力な権限を持っていたのですが、プーチン首相は首相就任に併せて首相の権限を強化する一方で大統領の権限を縮小しています。メドベージェフ大統領が大統領退任後もそれなりのポストで処遇されるかどうかもひとつの注目点でしょう。もともとアンバランスな「双頭の鷲」であり、メドベージェフ大統領が退いて本当に首相に任命されるかどうか、これは何とも言えません。仮にメドベージェフ大統領が首相に就任できたとしても、プーチン首相は再び大統領に強権を与える制度に改めるでしょうから、あまり実権はないものになるのではないかと思われます。プーチン首相の「メドベージェフ首相」発言は、とりあえず今のところ国家元首にある者へのお口で奉仕、リップサービスの可能性があるからです。

 実際、後継者だのパートナーだのと持ち上げられてもあっさり失脚して捨てられる例は古今東西左程珍しいものではありません。プーチン首相は1952年生まれ、メドベージェフ大統領は1965年生まれですから、両者の13歳という年齢差は微妙です。決して年が近いわけでもないが、大きく離れているわけでもないからです。この年齢差の場合、メドベージェフ大統領としてはプーチン首相の老いを期待している間に老いてしまい、後継者候補から除外されることになるのではないかと思われます。つまり、もし本当にメドベージェフ大統領が権力を望むのであれば、「老いを待つ」という方法は使えず、戦わざるを得ない。戦わないと言う選択をした場合、あとはプーチン首相の温情次第となりますが、危険視されて失脚させられる可能性は極めて高いのではないかと思われます。何しろ、一度は事実上最高権力者と肩を並べるポストに就いてしまったのですから。

 ロシアではプーチン大統領就任以降、権威主義的な体制が着々と整えられてきました。プーチン首相の大統領返り咲きが果たされれば、プーチン体制はますます強固なものとなるでしょう。プーチン体制の元で民主主義は後退し、権力者と財閥が組んで政治経済を牛耳る構造が生まれています。しかし、ゴルバチョフとエルツィンのロシアの民主化時代は経済低迷と国威の低迷時代に重なってしまっており、ロシア国民の側としてはむしろ「強かった」スターリン時代を懐かしむ声すらある。「強いロシア」を望む国民の愛国心を上手く利用したのがプーチン首相で、ロシアを強くするかわりに、民主主義や自由は明らかに後退しています。そして、ロシア国民はプーチン首相の手腕と姿勢を高く評価し支持していますから、結局のところロシアでは自由や民主主義に大した価値を見出していないのでしょう。それは同時に、合議によって意思決定するシステムに馴染んでおらず、むしろ強力な最高権力者に委ねたいと言う心理・国民性もあるように思われます(この点では、我が国の地方政治にも同様の問題があると言えます)。

 かつて、ソ連の最高指導者は「赤いツァーリ(皇帝)」と言われてきましたが、今やプーチン首相もツァーリと同視してもよいでしょう。ただし、ロシア帝国の皇帝やソ連の指導者と異なり、プーチン首相は体制を維持するためには国民の支持を必要としています。そのためには、「強いロシア」を演出する必要があります。チェチェン紛争や北方領土問題での強硬姿勢のみならず、軍拡路線への転換や、日本列島付近に爆撃機を出没させる頻度を増やしているところを見ると、経済面ではともかくとして安全保障面では日本に対する圧迫を強めていくのではないかと思われます。ロシアが北朝鮮のバックアップをしていることも忘れてはなりません。

 中国の軍拡著しく、ロシアも再び脅威となる日が近いということを考えると、日本としてはますますアメリカとの同盟関係を強化して行く以外に方策はないのではないでしょうか。民主党政権になって以降の日本の「反米」とも言える姿勢に対して、アメリカの識者の間では「極東から撤退してアラスカ・ハワイ・グアム・パナマの線まで後退すべきだ」という意見すら出ているそうです。あくまでも「少数意見であり、多数意見とはなっていない」そうですが、私がかつて懸念していたことが、不幸にも現実になるかも知れません。

 オバマ大統領は野田総理に普天間問題で答えを出すことを求めています。民主党政権が方向転換できなければ、日本は極東の勢力争いの中に置き去りにされ、中国あたりに服属する小国へと転落することになるでしょう。

 

 

ファイル:Greater Coat of Arms of the Russian Empire 1700x1767 pix Igor Barbe 2006.jpg ロシア帝国の国章

ファイル:Palaiologos-Dynasty-Eagle.svg 東ローマ帝国の国章

ファイル:Quaterionenadler David de Negker.svg 神聖ローマ帝国の国章

 余談ですが、「はげ・ふさの法則」というものがあります。帝政ロシア以来、最高指導者にハゲとフサフサが交互に就いてきたというものです。メドベージエフ大統領はふさふさであり、プーチン首相は大分薄くなっていますから、この法則通りということになるかも知れません。

 

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