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2011年9月18日 - 2011年9月24日

2011年9月23日 (金)

減税日本と党議拘束

 私は河村市長のポピュリズムに徹した政策と手法には批判的な目を向けていますが、党議拘束に関する問題については従来の河村市長の理屈が正しいと考えています。党幹部や議員団幹部が一方的に賛否を決め、無役の議員は文句を言わずに従えと言うのは個々の議員を「数字」としか見ていない証左であり、個々の議員を選んだ有権者を馬鹿にしています。幹部であろうが長老であろうが新人であろうが、有権者は優劣をつけて選出しているわけではないからです。また、国や地方を問わず長年のこうした慣行が、議員から議論によって意見集約して行く能力そのものを育てる機会を奪い、数の力で押し切ったり義理人情で何とかしようとする手法により、民主政を揺るがす問題を生んでいるように思われます。

 河村市長の創設した減税日本は、この従来の河村市長の思想を取り入れ、減税と議員報酬削減以外の争点に関して党議拘束を設けないと言うことで出発しました。この党議拘束を設けないと言う考え方は、私ですら魅力を感じたものでした。他に職を持たなければ生活できない非常勤の議員がどこまで研究して話し合いに臨めるかは疑問であったものの、少なくとも少数の幹部や有力者によってはじめから結論ありきで決めてしまうよりははるかに良い事であると考えたものです。

 ところが、河村市長は減税日本の議員に実質的に「党議拘束」を行い、市長の意向に逆らわないよう求め始めたと伝えられています。これでは、従来の議会与党の姿勢と何処が違うのでしょうか。河村市長としては、絶対権力者になった以上翼賛議会で十分と考えているのでしょうか。だとしたら、大変に傲慢な考え方であり、名古屋市の有権者を騙したことになります。結局、河村市長の主義主張は権力を握るための方便にすぎなかったと指弾されても仕方がないでしょう。

 ただ、河村市長の顔と名前で当選してきた議員が圧倒的多数を占めている以上、議員を続けたいばかりに市長の命に服従せざるを得ない議員も増えていくものと思われます。そうなれば、それこそ議会は「無用」ということになる。今のところ法的には困難ですが、議会を廃止し、住民の声だけ地域委員会経由で行政に伝えるシステムを作ることができれば、市長はもう君主そのものになれます。どうか、そのようにならないことを祈りたいと思います。

2011年9月21日 (水)

三菱重工防衛機密漏洩事件

 三菱重工のコンピューターにウイルスが侵入し、防衛機密情報が流出していたことが明らかになりました。同時多発的に不正アクセスが行われたことや、感染させられたのが流出させることが目的のウイルスであったことから見て、コンピューターマニアのイタズラではなく、何者かが三菱の防衛機密を盗み出そうと意図して行ったのではないかと思われます。IHIや川崎重工など日本の防衛産業の中核を担っている企業にもサイバー攻撃が仕掛けられており、日本の防衛産業そのものをターゲットとした「組織的な」攻撃であったということになります。

 一部の報道によれば、不正アクセスの解析で中国大陸で常用される簡体字が出て来たとか、流出データの送信先が中国であるというものがありました。事件発覚当初から、中国による犯行との見方が囁かれており、実際に中国はサイバー上の戦いのための準備を着々と進めていることからして、中国犯行説には一定の説得力があります。一方、中国と対立している筈のインドのコンピューターが介在していると言う報道もありますから、これがインド独自のものなのか、インドを隠れ蓑にしたのか今後解明する必要があります。

 中国では自国が犯人扱いされている事に怒りの声が湧き上がっているそうですが、中国犯行説は決して看過できない。と言うのも、中国が各国の防衛機密を盗み出して兵器開発をしているのは周知の事実だからで、日本だけが例外と言うのも考え難い話だからです。例えば、アメリカの誇るイージスシステムの情報は中国によって盗み出され、そのデータをもとにしてチャイニーズ・イージスという外見からしてアメリカのアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦にそっくりな蘭州級ミサイル駆逐艦が建造されています。この事件では盗み出した中国系アメリカ人が罪に問われており、アメリカですら機密漏洩が相当なレベルまで発生していたことから見て、それよりもガードの甘い日本で機密の流出は起きていたと考えるのはむしろ自然ではないでしょうか。

 ちなみに、英語でパチ物のことを「Chinese copy」と言うそうですが、新幹線や兵器からアニメまで見ていると、そう言われても仕方がないように思うのは私だけではないでしょう。昨日の報道ではAK98なるAKB48に酷似した少女アイドルグループを売り出して中国国内からも顰蹙を買っているくらいです。

 三菱重工はこの事件について、八月中旬にはウイルス感染とデータ流出を認識していながら、報道されるまで防衛省に報告していなかったというのですから呆れます。装備品の発注は企業だから何処でも頼めるというものではなく、機密保持も含めた信頼関係の上に立って、国も信頼し多額の装備品の発注をしているのではないでしょうか。だからこそ、市販品や海外での価格と比較して高いのも容認されているわけです。機密タダ漏れというのでは、そもそも日本国内の企業に発注する意味すら失わせかねません。日本の防衛産業を守る上で、無視できない事件であり、事件発生後の三菱重工の姿勢は機密情報を扱う者の自覚に欠けていると非難されても仕方がないのではないでしょうか。

USS Halsey DDG-97アメリカのアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦

Fleet Hangchow Bay Bridge-1-.jpg中国の蘭州級ミサイル駆逐艦

2011年9月19日 (月)

年金の一本化について

 政府は税と社会保障の一体改革の一環として、従前の厚生年金保険と国家公務員・地方公務員等・私立学校教職員の共済の年金を統合する方向で調整に入りました。民主党が一貫して主張してきた「国民年金と厚生年金の統合」「月7万円の最低保障年金」はひとまず脇に置かれた形になります。

 厚生年金保険の制度に対して共済年金を統合して行くと言うのは、既に船員保険、旧国鉄共済、旧電電公社共済、旧専売公社共済などで実績もあります。国民年金と厚生年金を統合するよりは、制度変更はすんなりと進むのではないでしょうか。

 ただし、この共済との統合によって、年金制度が改革され国民の年金不安が解消されるのかと言うと、残念ながらそれはないと断言できます。

 まず、民主党に加えて自民党やみんなの党など、所謂新自由主義信奉グループは、永年に渡り「公務員が年金で優遇されているから当事者意識かなく年金改革が進まない」ということを念仏のように唱えてきました。年金を公務員任せにすること自体、既に彼らの主張してきた「政治主導」「脱官僚」と矛盾する話なのですが、これは単純に公務員の年金を切り下げるだけの効果しか生まないのではないかと思われます。

 明治初期にまで歴史を紐解くと、我が国の官吏(公務員)の質は年金制度で相対的に国民一般より優遇されていた時代の方が評価は高かった。戦前は公的年金のもらえる仕事が官吏か職業軍人くらいしかなく、その分優秀な人材が集まったわけです。高等教育を受けられない層(戦前の国民の圧倒的多数)にとっては、陸海軍の兵から下士官になることが出世コースで、戦前に貧しい田舎から志願して陸海軍に入った人たちの書いたものを読んでみると、「年金」が大きな魅力だったことがにじみ出ています。旧日本軍の下士官は勇敢で優秀だったと評価されていますが、優秀な人材が集まり努力した結果であって、その背後には「年金」と「安定した月給」があったことは、現代日本においても注目されてよいと思います。

 現在の年金不安の本質は、公務員の年金が高い事に対して不満を感じていると言うより、一般的な年金特に国民年金のみとなっている者に対する給付が安すぎること、労働者全体の非正規化に伴い厚生年金への加入そのもののハードルが若い労働者ほど高くなっていること、少子化と高齢化により受給と負担のバランスが維持できなくなるということなどが挙げられます。そして、公務員の年金を厚生年金保険に統合することで、これらの問題は何一つとして解決されません。

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