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2011年9月4日 - 2011年9月10日

2011年9月 9日 (金)

政治家の利益相反行為

 山岡消費者担当大臣がマルチ業者から長年に渡り政治献金を受けていた事実が報道されています。ネット上ではかなり昔から周知のことだったのですが、野田総理は閣僚の「身体検査」をどう考えていたのか、首をかしげたくなります。閣僚にするだけでも国会において質疑に晒されるわけですが、それに加えて悪徳商法を取り締まる担当の閣僚に任命してしまったわけですから。

 献金を受けていたからと言って、ただちにその一味とか代理人であるとは思いたくありませんが、国民から色眼鏡で見られることは避けられないでしょう。取り締まる側と取り締まられる側が同じになってしまうと言うのは、どちらから見ても利益相反行為にあたるということになります。これでは、消費者担当相を信頼せよと言っても無理な話ではないでしょうか。野田総理と山岡大臣の認識は甘いと言うべきです。

 中央政界だけではありません。地方政界においても、首長や議員が経営していたり関わっている会社が自治体から仕事を受注している例はいくらでもあります。最近では政治家が公的機関の発注する仕事を受注する会社と密接な関係にあることが問題視されることもありますので就任にあたって形式的にトップから退いていたとしても、オーナーとして或いは圧倒的多数を握る株主として事実上の最高権力者になっていることは珍しいことではありません。散々議会や公務員や国を批判していた阿久根市の竹原信一前市長も、建設会社の経営者でした。もっとも、我が国では利益相反行為に関する問題については、政界に限らず総じて甘い感がありますので、国民の認識の問題とも言え、政治家だけを責めるのは酷と言えるかもしれませんが。

 オーストラリアのケビン・ラッド外相は前首相でもあるのですが、首相候補となるオーストラリア労働党党首就任に際して、妻が人材派遣会社を経営していたことが利益相反行為にあたるのではないかとの指摘を受け、事業売却を余儀なくされています。

 法律家の間では、受任に際して利益相反行為になることがないよう、倫理教育等で厳しく言われています。これは守秘義務の問題とともに、事情を知らない人たちから「固い」と言われることも多いのですが、守秘義務や利益相反行為の禁止を骨抜きにしてしまったら、恐ろしい事になるのは言うまでもないでしょう。

 政治家についても今後は相応の利益相反防止の対処が必要になるのではないでしょうか。特定の業界と深い結びつきがあるだけでも問題ですが、取り締まる側に取り締まられる側と混同されかねない立場の者を任命すると言うのはもう問題外でしょう。

2011年9月 7日 (水)

「東アジア共同体」は本当に必要ないのか

 野田総理は執筆した論文の中で、東アジア共同体は不要であり、必要なのは日米同盟の強化であると述べています。鳩山元総理が打ち出した「東アジア共同体」構想は、同じ民主党出身の総理の手で事実上葬り去られることになりそうです。

 思えば、鳩山元総理は実に能天気でした。何しろ、自由・民主・均富という価値観を共有する台湾は共同体に入れず(ちなみに、台湾の馬英九総統は台湾としては東アジア共同体に参画したいと表明していました)、一方で独裁・貧困・軍拡・恫喝を繰り返す北朝鮮には共同体に入ってもらいたいと言っていたのですから常軌を逸しています。東アジアでは中国の存在を無視することはできませんが、いくら経済発展著しいとは言っても非民主的な政治に法による支配が行われていないのですから、まだまだ中国は遠い存在であり、共同体を作ると言うのは日本が中国に服属しない限りはあの時点では不可能と言うしかないものでした。

 民主党政権は発足以来、対中国・対北朝鮮政策で兎角に低姿勢・融和路線を歩んだのに対して、アメリカに対しては信義を損なうようなことを繰り返してきました。口先では「日米同盟堅持」と言いつつも、事実上の「反米政権」であると指摘されていた。日米の同盟関係は戦後最悪のレベルであったと言っても過言ではありません。アメリカも野田政権に対しては日米関係の修復を期待していますから、野田総理は従来の民主党政権と異なり、外交的にはアメリカとの関係をより強化することになるのではないでしょうか。

 私自身も、今は対米関係を最重要視すべきだと考えています。日本の安全確保のためには、従来にも増してアメリカとの協力関係が欠かせません。かつては、海上自衛隊で中国・韓国・北朝鮮・台湾の海軍を封じ込めることは容易でしたが、今や中国海軍の増勢は目覚ましく、日本だけでは対処不可能です。同時に、アメリカも経済の減退で従来のような強力な部隊を世界各地に展開させることは困難になりつつあり、言い方は悪いですが「衰退期にある国」同士が手を結ばなければ新興の大国に対峙できない。もし、アメリカが日本と切れることになれば、アメリカは極東における拠点を失ってアラスカからハワイ、グアムを結ぶ線に後退することになるでしょうし(それは1945年以前のアメリカの姿でもある)、北東アジアに生まれた「権力の空白地帯」には中国が入り込んでくることは必至です。

 ただし、私は「東アジ共同体」に全く将来性がないとも考えていません。中国の民主化と北朝鮮の解放がなされ、北東アジア諸国が経済だけでなく自由や民主と言った価値観を共有できる事になった時、共同体へと言うステップはあってしかるべきものだからです。経済的な結びつきが強まってきているからこそ、共通の価値観のもとで話し合い、協力できる体制を作っていくことは重要です。

 残念ながら、現時点では中国や北朝鮮と言った独裁国家に振り回されることになるのは確実で、現段階で東アジア共同体に進めばかつて我が国が「大東亜共栄圏」を建設しようとして失敗したのと同じくらいの混乱と惨禍を招くことになるでしょう。しかし、経済的にも歴史的にも格別の繋がりをもってきた東アジアの国々が共に生きることは、大きな理想ではあります。そして、もしその理想が実現されれば、先の大戦での数千万人の犠牲者の死は無駄ではなかったと言う事にもなる。

 将来的な「東アジア共同体」は否定されるべきではなくむしろ推進されるべきであり、そのための里程標として独裁国家に対し逐次民主化・自由化を促すことが我が国には必要であると思います。同時に、それは我が国の安全を守ることにもなります。自由化・民主化が進めば、最早中国も北朝鮮も、経済関係や人的関係を決定的に破壊してしまうような行動を取る余地は少なくなっていくからです。ただし、いくら友好と通商があっても、全く脅威でないと認定してしまう事は双方にとってよくありません。例えば良好である日台関係においても、尖閣諸島に関しては常に台湾から文句をつけられており、劉前行政院長は立法院のの答弁で「開戦もあり得る」と述べています(あくまでも、劉前行政院長としては領土を侵された際の最終手段として戦争と言う選択肢を中華民国の国内法的に排除しないという趣旨でしたが)。

 仮に、中国と北朝鮮が、それぞれ分裂した片割れである台湾と韓国と同じくらいのスピードで民主化・経済改革を実現できたとしても、日本・韓国・台湾と同等のレベルに達するには半世紀以上の時間がかかるのではないかと思います。中国の沿海部の高学歴層は既に西欧的な価値観に染まりつつありますから、彼らと話していると楽観的な気分にならないではありませんが、沿海部の富裕・高学歴層の何倍もの貧困層を抱えていると言うのが中国の現実であり、北朝鮮となると実質的に奴隷制国家と変わらない。東アジ共同体に実際に踏み出せるのは、何十年も後の事になるのではないかと思います。

 とりあえず、自国の最高指導者を自由に批判できないような国と共同体を作るようなことはできません。アメリカではオバマ大統領を誰でも批判できます。台湾でも馬総統を馬鹿だと批判できますし、韓国でも李大統領を批判してもそれで罪に問われることはない。日本でも、最近の総理をして「○○はバカだ」と批判しても何らの罪にはならず、それどころか共感すら抱かれると言う笑えない状態が続いてきました。一方、中国で公然と胡錦濤主席を批判したら、北朝鮮で将軍様を批判したら、命の保証はありません。道のりは長い。

2011年9月 5日 (月)

野田内閣の支持率56パーセント

 世論調査で、野田内閣の支持率は軒並み50パーセントを超えており、大体6割程度の支持を得ています。菅内閣末期の支持率と比べて、文字通りV字回復と言えるでしょう。

 しかしながら、郵政選挙直後の小泉政権も含めて、安倍・福田・麻生・鳩山・菅と言った短命に終わった歴代内閣も発足当初の支持率は非常に高かったのです。それが、あっという間に急落し、与党内からもこれでは選挙が戦えないから引き下ろせと言う声が高まり、見捨てられて辞めていく。これが初秋の年中行事と化しています。

 首相が交代すると、何か新しい事が起きるような期待を抱いてしまいます。そうした感情が、発足当初の高支持率となっているのでしょう。特に、森内閣以降最近の総理は、常に石を持って追われるような状態で退陣を迎えてきました。前内閣への不信感・失望感の反動が、次の内閣の高支持率ともなっているのかも知れません。

 ただ、「顔」が変ったからと言って、閉塞感が一気に打破されるわけではありません。長年の不況で国民は慢性的な閉塞感を抱いており、最近はその閉塞感を打破してくれそうなものに飛びつく傾向があります。しかし、簡単に閉塞感が打破されるわけもなく、期待は直ぐに失望に変わる。そして、直ぐに新しいものにまた飛び付く。これでは、政治家の側も腰を据えて取り組むと言う事は難しいのではないでしょうか。彼らも人気商売であるからです。

 顔が変わってからと言って閉塞感が解消されるわけではないことを、国民の側も認識しておく必要があるのではないかと思います。

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